休んでも取れない疲れ、病気でしょうか
目次
検査は正常なのに、ずっと疲れている方へ
30秒でわかるポイント
- 休んでも取れない疲れはありふれたものです。世界で4人に1人ほどで、13人に1人は半年以上続いています。
- 疲れの裏に重い病気が隠れているのは、100人中4〜5人です。だから、まず基本的な検査でこれを確認するのが順番です。
- 検査が正常だからといって、疲れが気のせいというわけではありません。もっともよく一緒にあるのはうつで、睡眠の質や生活リズムも大きく関わります。
- 検査が正常な疲れは、睡眠、気分、消化、体のリズムを一つずつ見て、原因の組み合わせを探す必要があります。
- 体重が減る、熱が出る、夜に痛みで目が覚める、という場合は、疲れだと見過ごさず、すぐに受診してください。
よく伺うお悩み
- 「検査は全部正常だと言われたのに、どうしてこんなに疲れるのでしょう。」
- 「寝て起きても、寝た気がしないんです。」
- 「週末にしっかり休んでも、月曜日にはまた同じです。」
- 「サプリメントを飲んでも、その時だけです。」
- 「怠けているだけかと思って、言い出せませんでした。」
健康診断で何の異常もないと言われて、かえってもどかしくなっていらっしゃる方がたくさんいます。
初日はこう進みます
- 数字に表れるものがあるかどうか。 血液検査で貧血・甲状腺・代謝の状態を、InBody検査で筋肉量と体脂肪を見ます。
- 数字に表れない部分はどうか。 お腹を押してどこが硬く痛むか、脈と舌で体がどちらに傾いているかを見ます。
- 自分がなぜ疲れているのかがわかります。 睡眠のせいなのか、お腹のせいなのか、気分のせいなのか。わかれば、何から始めればいいかがはっきりします。
検査は正常なのに、なぜこんなに疲れるのでしょう
診察室で、この言葉ほどよく聞くものはありません。「健康診断では全部正常だと言われました。でも、朝起きるのがとてもつらいんです。」
このような方には、心配が二つあります。一つは、重い病気が隠れているのではないかという不安です。もう一つは、検査が正常なので仮病扱いされるのではないかという悔しさです。
この記事は、その二つの心配に数字で答えるために書いています。当院のパク・ナヒョン院長は、世界中の人々の疲労を分析した国際共同研究に参加しました。その資料から始めましょう。
疲れている人は、実際にどれくらいいるのですか
4人に1人ほどです。 多くの国の調査を集めて分析した結果、疲れを感じている人は全体の16.4%でした。期間を問わなければ24.2%、6か月以上続いている場合は7.7%でした。13人に1人は、半年以上疲れているということです。
病気を抱えている方では、さらに多くなります。がん患者の疲労を別に調べた分析では、治療が終わったあとも疲れがしばらく続く様子が確認されました。
まとめると、疲れは珍しいことではありません。 むしろありふれたものです。そうなると、次の質問が大切になります。そのありふれた疲れの中に、病気が隠れているのはどれくらいなのでしょうか。
重い病気が隠れている確率は、どれくらいですか
疲れを訴えて医療機関を訪れた方の100人中4〜5人です。ヨーロッパで26本の研究を集めて分析した結果です。
| 疲れで医療機関を訪れた100人のうち | 何人か |
|---|---|
| 貧血 | 約3人 |
| がんのような重い病気 | 1人未満 |
| 体の病気全体 | 4〜5人 |
| うつを伴う | 約18人 |
この表で注目していただきたいことがあります。うつは、体の病気より4倍以上多いのです。
さらに興味深いこともあります。疲れていない人たちと比べてみると、体の病気がある割合には差がありませんでした。 差が出たのは、うつでした。
つまり、100人中4〜5人を見逃さないためには、基本的な検査は欠かせません。ところが、残りの95人に「検査上は正常なので異常ありません」で終わってしまったら、その95人の疲れは、どこで扱われるべきなのでしょうか。 これが本当の問題です。
検査に表れない疲れとは、何ですか
いちばん大きな部分は気分です。 先ほどの表で見たとおり、うつが圧倒的に多いのです。疲れを体の問題としてだけ追いかけると、もっともよくある原因を見逃してしまいます。
睡眠も大きな柱です。 大人の3人に1人以上が、夜中に目が覚める経験をしています。途中で目が覚める眠りは、日中の回復を崩します。寝たはずなのに朝のほうが疲れているなら、寝た時間ではなく、睡眠の質とリズムを見る必要があります。
数値に表れない体の状態もあります。 血液検査の数字が正常範囲内でも、消化が落ちている、体の熱が偏っている、筋肉がこわばっている、といった状態は存在します。お腹を押し、脈をとり、舌を見る診察は、まさにこの領域を見るための道具です。血液検査と張り合うのではなく、血液検査で正常と出た次の段階から役割が始まります。
鍼(はり)治療のエビデンスも積み重なってきています。慢性疲労症候群の患者3,473人分の試験を集めた分析で、鍼・お灸の系統が疲労のスコアを下げるうえで良い成績を示しました。ただし、この分析の対象は日常生活が崩れるほどの慢性疲労症候群で、診察室でお会いする多くの疲れとは同じ集団ではありません。当院が鍼だけで進めない理由です。
当院がはっきりさせておくこと
疲れは人によって指すものが違う言葉なので、一つの数字にまとめることはできません。研究ごとに測り方も違います。
そのため当院は、「疲れに効く治療」を先に持ち出すことはしません。 この疲れがどこから来ているのかから分けていきます。睡眠なのか、お腹なのか、気分なのかによって、やるべきことがまったく変わるからです。
そこで当院は、この順番で診ます
一つ目、除外を飛ばしません。 100人中4〜5人は、小さな数字ではありません。体重が減っていないか、熱が出ていないか、夜に痛みで目が覚めないか、首にしこりが触れないか、血の混じった便が出ていないかを、まず確認します。最近血液検査を受けていなければ、貧血・甲状腺・肝臓・血糖から見ます。この段階を抜きに疲れを扱うのは、順番を間違えた診療です。
二つ目、検査が正常だからといって診療を終えません。 正常という言葉は「異常なし」ではなく、「重い病気である確率が下がった」という意味です。その次に、睡眠、気分、生活リズム、そして韓医学的な診察所見を順に見ていきます。
三つ目、気分の問題を正面から伺います。 データ上、疲れにもっともよく伴うのはうつです。気分の落ち込みや興味が湧かない感じ、朝のほうがつらいといった傾向がはっきりしていれば、精神科での評価が必要かどうかを一緒に判断し、ご案内します。
四つ目、疲れの時間割を描きます。 朝が最悪なのか、午後には楽になるのか、動いてから1〜2日後にどっと来るのか、食べたあとに重くなるのか。このパターンが、睡眠の問題なのか、気分の問題なのか、消化の問題なのかを見分ける手がかりになります。
当院の進め方
数字で確認できるものを先に確認します。 血液検査で貧血・甲状腺・代謝の状態を見て、InBody検査で筋肉量と体脂肪を、脳波検査で覚醒の程度を参考資料として確保します。危険なサインがある場合や精密検査が必要な場合は、検査ができる医療機関へのご案内を先に行います。
数字に表れないものを次に診ます。 お腹を押してどこが硬く痛むか、脈と舌で全身の状態がどちらに傾いているかを評価します。検査が正常な疲れの患者さんで治療目標を立てる根拠は、ここから出てきます。2024年1月から2026年7月まで、検査をもとに韓方薬を処方した2,417件の経験で、この基準を磨いてきました。
リズムを目標にします。 疲れが睡眠と絡んでいれば一日のリズムを取り戻すことを、消化と絡んでいれば消化機能を立て直すことを先に目標に置き、鍼・薬鍼(やくしん)・韓方薬を組み立てます。症状を一つずつ覆い隠すのではなく、流れを整える方向です。
変化を測り直してお見せします。 治療前に確認した血液検査・体成分・脳波と診察所見を、再評価のときに比べます。「よくなった気がする」ではなく、変わった数字で判断します。
気分の問題が中心なら、一緒に進むべき先をご案内します。 うつが疲れの中心だと判断した場合は、韓医学の治療だけで進めることはしません。
疲れの原因の組み合わせやよくなるスピードは、年齢、睡眠、ほかの病気、生活環境によって人それぞれです。
今確認しないと
疲れぐらいで医療機関に行くことは、たいていありません。検査で正常だとすでに言われているなら、なおさらです。
けれども、二つのことを見逃してしまいます。
一つは、100人中4〜5人です。 最近基本的な検査を受けていないなら、その中に入っているかどうかはまだわからない状態です。体重が減る、熱が出る、夜に痛みで目が覚めるといった症状が一緒にあるなら、なおさらです。
もう一つは、残りの95人です。 検査が正常だという理由で何もせずに過ごすと、睡眠と気分と消化が互いを引き下げ合う状態が、そのまま固まってしまいます。時間がたつほど、何が先だったのかを見分けるのが難しくなります。
こう変わります
朝起きるのが前よりつらくなくなること。 午後に崩れないこと。週末にまとめて寝なくてもよくなること。
そして、もう一つあります。「自分がなぜ疲れているのか」がわかることです。睡眠のせいなのか、気分のせいなのか、お腹のせいなのかがわかれば、次に何をすべきかがはっきりします。原因を知らずに我慢するのと、知ったうえで向き合うのとは違います。
こんな方は一度いらしてください
- 検査は正常なのに疲れが取れない方
- 寝ても寝た気がしない方
- 休んでも回復しない状態が何か月も続いている方
- サプリメントやコーヒーでしのいでいる方
「怠けている」のではありません。 検査で確認すべきことを先に確認し、そこで見つからなければ、どこを見るべきかをお伝えします。重い病気が疑われる場合は、そちらの検査を先におすすめします。
この記事が参考にした資料
| 資料 | 何を調べた研究か | 結果 |
|---|---|---|
| Yoon, Park ら, 2023 | 世界の一般人口の疲労を集めて分析(当院のパク・ナヒョン院長が共同筆頭著者) | 疲労16.4%、期間を問わず24.2%、6か月以上7.7% |
| Kang ら, 2023 | がん患者の疲労を重症度別に分析 | 治療が終わったあとも疲労が続く傾向 |
| Stadje ら, 2016 | ヨーロッパのプライマリケア研究26本を集めて分析 | 貧血2.8%、がん0.6%、体の病気4.3%、うつ18.5% |
| Maisel ら, 2021 | プライマリケアで疲労を扱う方法の整理 | 体の原因だけを追うと過剰診断のリスク |
| Fang ら, 2022 | 慢性疲労症候群の試験51本・3,473人を集めて分析 | 鍼・お灸の系統で疲労スコアが改善。ただしエビデンスの等級は低い |
参考文献
Yoon J-H, Park N-H, Kang Y-E, Ahn Y-C, Lee E-J, Son C-G. The demographic features of fatigue in the general population worldwide: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Public Health. 2023;11:1192121. doi:10.3389/fpubh.2023.1192121. PMID: 37575103
Kang Y-E, Yoon J-H, Park N-H, Ahn Y-C, Lee E-J, Son C-G. Prevalence of cancer-related fatigue based on severity: a systematic review and meta-analysis. Scientific Reports. 2023;13(1):12815. doi:10.1038/s41598-023-39046-0
Stadje R, Dornieden K, Baum E, Becker A, Biroga T, Bösner S, Haasenritter J, Keunecke C, Viniol A, Donner-Banzhoff N. The differential diagnosis of tiredness: a systematic review. BMC Family Practice. 2016;17(1):147. doi:10.1186/s12875-016-0545-5. PMID: 27765009
Maisel P, Baum E, Donner-Banzhoff N. Fatigue as the chief complaint: epidemiology, causes, diagnosis, and treatment. Deutsches Ärzteblatt International. 2021. PMID: 34196270
Fang Y, Yue B-W, Ma H-B, Yuan Y-P. Acupuncture and moxibustion for chronic fatigue syndrome: a systematic review and network meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2022. doi:10.1097/MD.0000000000029310
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