ホーム › 院長コラム › 補薬・ウェルネス
2026年8月10日

休んでも取れない疲れ、病気でしょうか

パク・ナヒョン
医療監修 パク・ナヒョン 診療院長

検査は正常なのに、ずっと疲れている方へ

30秒でわかるポイント

  1. 休んでも取れない疲れはありふれたものです。世界で4人に1人ほどで、13人に1人は半年以上続いています。
  2. 疲れの裏に重い病気が隠れているのは、100人中4〜5人です。だから、まず基本的な検査でこれを確認するのが順番です。
  3. 検査が正常だからといって、疲れが気のせいというわけではありません。もっともよく一緒にあるのはうつで、睡眠の質や生活リズムも大きく関わります。
  4. 検査が正常な疲れは、睡眠、気分、消化、体のリズムを一つずつ見て、原因の組み合わせを探す必要があります。
  5. 体重が減る、熱が出る、夜に痛みで目が覚める、という場合は、疲れだと見過ごさず、すぐに受診してください。

よく伺うお悩み

  • 「検査は全部正常だと言われたのに、どうしてこんなに疲れるのでしょう。」
  • 「寝て起きても、寝た気がしないんです。」
  • 「週末にしっかり休んでも、月曜日にはまた同じです。」
  • 「サプリメントを飲んでも、その時だけです。」
  • 「怠けているだけかと思って、言い出せませんでした。」

健康診断で何の異常もないと言われて、かえってもどかしくなっていらっしゃる方がたくさんいます。

初日はこう進みます

  • 数字に表れるものがあるかどうか。 血液検査で貧血・甲状腺・代謝の状態を、InBody検査で筋肉量と体脂肪を見ます。
  • 数字に表れない部分はどうか。 お腹を押してどこが硬く痛むか、脈と舌で体がどちらに傾いているかを見ます。
  • 自分がなぜ疲れているのかがわかります。 睡眠のせいなのか、お腹のせいなのか、気分のせいなのか。わかれば、何から始めればいいかがはっきりします。

検査は正常なのに、なぜこんなに疲れるのでしょう

診察室で、この言葉ほどよく聞くものはありません。「健康診断では全部正常だと言われました。でも、朝起きるのがとてもつらいんです。」

このような方には、心配が二つあります。一つは、重い病気が隠れているのではないかという不安です。もう一つは、検査が正常なので仮病扱いされるのではないかという悔しさです。

この記事は、その二つの心配に数字で答えるために書いています。当院のパク・ナヒョン院長は、世界中の人々の疲労を分析した国際共同研究に参加しました。その資料から始めましょう。

疲れている人は、実際にどれくらいいるのですか

4人に1人ほどです。 多くの国の調査を集めて分析した結果、疲れを感じている人は全体の16.4%でした。期間を問わなければ24.2%、6か月以上続いている場合は7.7%でした。13人に1人は、半年以上疲れているということです。

病気を抱えている方では、さらに多くなります。がん患者の疲労を別に調べた分析では、治療が終わったあとも疲れがしばらく続く様子が確認されました。

まとめると、疲れは珍しいことではありません。 むしろありふれたものです。そうなると、次の質問が大切になります。そのありふれた疲れの中に、病気が隠れているのはどれくらいなのでしょうか。

重い病気が隠れている確率は、どれくらいですか

疲れを訴えて医療機関を訪れた方の100人中4〜5人です。ヨーロッパで26本の研究を集めて分析した結果です。

疲れで医療機関を訪れた100人のうち 何人か
貧血 約3人
がんのような重い病気 1人未満
体の病気全体 4〜5人
うつを伴う 約18人

この表で注目していただきたいことがあります。うつは、体の病気より4倍以上多いのです。

さらに興味深いこともあります。疲れていない人たちと比べてみると、体の病気がある割合には差がありませんでした。 差が出たのは、うつでした。

つまり、100人中4〜5人を見逃さないためには、基本的な検査は欠かせません。ところが、残りの95人に「検査上は正常なので異常ありません」で終わってしまったら、その95人の疲れは、どこで扱われるべきなのでしょうか。 これが本当の問題です。

検査に表れない疲れとは、何ですか

いちばん大きな部分は気分です。 先ほどの表で見たとおり、うつが圧倒的に多いのです。疲れを体の問題としてだけ追いかけると、もっともよくある原因を見逃してしまいます。

睡眠も大きな柱です。 大人の3人に1人以上が、夜中に目が覚める経験をしています。途中で目が覚める眠りは、日中の回復を崩します。寝たはずなのに朝のほうが疲れているなら、寝た時間ではなく、睡眠の質とリズムを見る必要があります。

数値に表れない体の状態もあります。 血液検査の数字が正常範囲内でも、消化が落ちている、体の熱が偏っている、筋肉がこわばっている、といった状態は存在します。お腹を押し、脈をとり、舌を見る診察は、まさにこの領域を見るための道具です。血液検査と張り合うのではなく、血液検査で正常と出た次の段階から役割が始まります。

鍼(はり)治療のエビデンスも積み重なってきています。慢性疲労症候群の患者3,473人分の試験を集めた分析で、鍼・お灸の系統が疲労のスコアを下げるうえで良い成績を示しました。ただし、この分析の対象は日常生活が崩れるほどの慢性疲労症候群で、診察室でお会いする多くの疲れとは同じ集団ではありません。当院が鍼だけで進めない理由です。

当院がはっきりさせておくこと

疲れは人によって指すものが違う言葉なので、一つの数字にまとめることはできません。研究ごとに測り方も違います。

そのため当院は、「疲れに効く治療」を先に持ち出すことはしません。 この疲れがどこから来ているのかから分けていきます。睡眠なのか、お腹なのか、気分なのかによって、やるべきことがまったく変わるからです。

そこで当院は、この順番で診ます

一つ目、除外を飛ばしません。 100人中4〜5人は、小さな数字ではありません。体重が減っていないか、熱が出ていないか、夜に痛みで目が覚めないか、首にしこりが触れないか、血の混じった便が出ていないかを、まず確認します。最近血液検査を受けていなければ、貧血・甲状腺・肝臓・血糖から見ます。この段階を抜きに疲れを扱うのは、順番を間違えた診療です。

二つ目、検査が正常だからといって診療を終えません。 正常という言葉は「異常なし」ではなく、「重い病気である確率が下がった」という意味です。その次に、睡眠、気分、生活リズム、そして韓医学的な診察所見を順に見ていきます。

三つ目、気分の問題を正面から伺います。 データ上、疲れにもっともよく伴うのはうつです。気分の落ち込みや興味が湧かない感じ、朝のほうがつらいといった傾向がはっきりしていれば、精神科での評価が必要かどうかを一緒に判断し、ご案内します。

四つ目、疲れの時間割を描きます。 朝が最悪なのか、午後には楽になるのか、動いてから1〜2日後にどっと来るのか、食べたあとに重くなるのか。このパターンが、睡眠の問題なのか、気分の問題なのか、消化の問題なのかを見分ける手がかりになります。

当院の進め方

数字で確認できるものを先に確認します。 血液検査で貧血・甲状腺・代謝の状態を見て、InBody検査で筋肉量と体脂肪を、脳波検査で覚醒の程度を参考資料として確保します。危険なサインがある場合や精密検査が必要な場合は、検査ができる医療機関へのご案内を先に行います。

数字に表れないものを次に診ます。 お腹を押してどこが硬く痛むか、脈と舌で全身の状態がどちらに傾いているかを評価します。検査が正常な疲れの患者さんで治療目標を立てる根拠は、ここから出てきます。2024年1月から2026年7月まで、検査をもとに韓方薬を処方した2,417件の経験で、この基準を磨いてきました。

リズムを目標にします。 疲れが睡眠と絡んでいれば一日のリズムを取り戻すことを、消化と絡んでいれば消化機能を立て直すことを先に目標に置き、鍼・薬鍼(やくしん)・韓方薬を組み立てます。症状を一つずつ覆い隠すのではなく、流れを整える方向です。

変化を測り直してお見せします。 治療前に確認した血液検査・体成分・脳波と診察所見を、再評価のときに比べます。「よくなった気がする」ではなく、変わった数字で判断します。

気分の問題が中心なら、一緒に進むべき先をご案内します。 うつが疲れの中心だと判断した場合は、韓医学の治療だけで進めることはしません。

疲れの原因の組み合わせやよくなるスピードは、年齢、睡眠、ほかの病気、生活環境によって人それぞれです。

今確認しないと

疲れぐらいで医療機関に行くことは、たいていありません。検査で正常だとすでに言われているなら、なおさらです。

けれども、二つのことを見逃してしまいます。

一つは、100人中4〜5人です。 最近基本的な検査を受けていないなら、その中に入っているかどうかはまだわからない状態です。体重が減る、熱が出る、夜に痛みで目が覚めるといった症状が一緒にあるなら、なおさらです。

もう一つは、残りの95人です。 検査が正常だという理由で何もせずに過ごすと、睡眠と気分と消化が互いを引き下げ合う状態が、そのまま固まってしまいます。時間がたつほど、何が先だったのかを見分けるのが難しくなります。

こう変わります

朝起きるのが前よりつらくなくなること。 午後に崩れないこと。週末にまとめて寝なくてもよくなること。

そして、もう一つあります。「自分がなぜ疲れているのか」がわかることです。睡眠のせいなのか、気分のせいなのか、お腹のせいなのかがわかれば、次に何をすべきかがはっきりします。原因を知らずに我慢するのと、知ったうえで向き合うのとは違います。

こんな方は一度いらしてください

  • 検査は正常なのに疲れが取れない方
  • 寝ても寝た気がしない方
  • 休んでも回復しない状態が何か月も続いている方
  • サプリメントやコーヒーでしのいでいる方

「怠けている」のではありません。 検査で確認すべきことを先に確認し、そこで見つからなければ、どこを見るべきかをお伝えします。重い病気が疑われる場合は、そちらの検査を先におすすめします。

この記事が参考にした資料

資料 何を調べた研究か 結果
Yoon, Park ら, 2023 世界の一般人口の疲労を集めて分析(当院のパク・ナヒョン院長が共同筆頭著者) 疲労16.4%、期間を問わず24.2%、6か月以上7.7%
Kang ら, 2023 がん患者の疲労を重症度別に分析 治療が終わったあとも疲労が続く傾向
Stadje ら, 2016 ヨーロッパのプライマリケア研究26本を集めて分析 貧血2.8%、がん0.6%、体の病気4.3%、うつ18.5%
Maisel ら, 2021 プライマリケアで疲労を扱う方法の整理 体の原因だけを追うと過剰診断のリスク
Fang ら, 2022 慢性疲労症候群の試験51本・3,473人を集めて分析 鍼・お灸の系統で疲労スコアが改善。ただしエビデンスの等級は低い

参考文献

  1. Yoon J-H, Park N-H, Kang Y-E, Ahn Y-C, Lee E-J, Son C-G. The demographic features of fatigue in the general population worldwide: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Public Health. 2023;11:1192121. doi:10.3389/fpubh.2023.1192121. PMID: 37575103

  2. Kang Y-E, Yoon J-H, Park N-H, Ahn Y-C, Lee E-J, Son C-G. Prevalence of cancer-related fatigue based on severity: a systematic review and meta-analysis. Scientific Reports. 2023;13(1):12815. doi:10.1038/s41598-023-39046-0

  3. Stadje R, Dornieden K, Baum E, Becker A, Biroga T, Bösner S, Haasenritter J, Keunecke C, Viniol A, Donner-Banzhoff N. The differential diagnosis of tiredness: a systematic review. BMC Family Practice. 2016;17(1):147. doi:10.1186/s12875-016-0545-5. PMID: 27765009

  4. Maisel P, Baum E, Donner-Banzhoff N. Fatigue as the chief complaint: epidemiology, causes, diagnosis, and treatment. Deutsches Ärzteblatt International. 2021. PMID: 34196270

  5. Fang Y, Yue B-W, Ma H-B, Yuan Y-P. Acupuncture and moxibustion for chronic fatigue syndrome: a systematic review and network meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2022. doi:10.1097/MD.0000000000029310


休んでも取れない疲れが続いているなら、一度いらしてください。まず確認すべきことから見分けます。

ご相談・ご予約はページ右下のメッセンジャーから日本語でどうぞ。お電話は +82-53-716-1175 です。

気になる症状はありませんか?

平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。

日本語でご相談いただけます

ページ右下のメッセンジャー(チャット)から日本語でどうぞ。スタッフが翻訳してお返事しますので、返信までお時間をいただく場合があります。

お電話:+82-53-716-1175(韓国国内からは 053-716-1175)

パク・ナヒョン

パク・ナヒョン 診療院長

体型や姿勢から始まる問題を主に診ています。お子さまの成長やダイエット、交通事故の後遺症のように、体全体のバランスをあわせて見る必要がある診療を担当しています。 疲労に関するメタ分析研究を国際学術誌に発表しました。どれだけ休んでも回復しない疲れを訴える方を診療するとき、その研究の経験が役立っています。

医師紹介をもっと見る →
/* v1.35.6 cache-bust 1775272025 */