胃腸薬を一日飛ばした夜、なぜかえってひどくなったのでしょうか
目次
胃が壊れたのではなく、通過点なのかもしれません
30秒でわかるポイント
- 薬を一日飛ばした次の夜にひどくなるのは、よくあることです。胃が壊れたからではなく、リバウンドかもしれません。
- 逆流症状がまったくなかった健康な成人120人に胃酸抑制薬を8週間飲んでもらい、やめたところ、44%に胸やけや呑酸が新たに起こりました。 偽薬だけを飲んだ側は15%でした。
- 体が酸をもっと出そうと設備を大きくしておいた状態で薬が一晩で抜けると、大きくなった設備が一気に動き出します。
- ですから、今夜いきなりやめないでください。 減らす・やめるという判断は、処方した医療機関と相談する必要があります。胃酸抑制薬は悪い薬ではなく、この病気の効果的な第一選択の治療です。
- その代わり、薬を続けたまま、薬がしていた仕事を減らしてもよい条件を先につくります。ベッドの頭側を高くすること、夕食の時間、体重がその材料です。
よく伺うお悩み
- 「最近平気だったので一日飲まなかったら、その夜はもっとひどかったんです。」
- 「やめると、数日以内に必ずまた上がってきます。」
- 「私の胃は、もう薬なしではだめなんでしょうか。」
- 「一生飲み続けなければいけない、ということですか。」
逆流で胃腸薬を飲んでいる方のほとんどは、一度は試してみます。最近ちょっと調子がいいから、今日は飲まずに寝てみようか。
そして数日後の夜、以前よりひどい呑酸で目が覚めます。明け方に水を飲みながら出す結論はひとつです。私の胃は、もう薬なしではだめなんだ。
睡眠薬のお話を読まれた方なら、この流れに見覚えがあるでしょう。今日はそのお話の胃腸編です。そして結論も同じです。
その夜は胃が壊れた証拠ではなく、薬が急に抜けたときに起こる、予測された反応かもしれません。
症状がまったくなかった人たちに起きたこと
デンマークの研究チームが、逆流症状がまったくない健康な成人120人を集めました。
半数は12週間ずっと偽薬を、半数は胃酸抑制薬を8週間飲んだ後に偽薬に切り替えました。本人たちは、自分がどちらなのかを知りません。
結果はこうです。薬をやめた後の4週間で、もともと何の症状もなかった人の44%が、胸やけや呑酸のような症状を新たに経験しました。 偽薬だけを飲んだ側は15%でした。
なぜ、こんなことが起こるのか
胃酸抑制薬は、胃酸工場の稼働を止める薬です。
ところが体は、酸がずっと足りないと感じると、もっとつくれという指示を増やし、生産設備そのものを大きくしておきます。
その状態で薬が一晩で抜けたらどうなるでしょうか。大きくなった設備が一気に動き出し、薬を飲む前よりも酸があふれ出る時期がやってきます。
健康な胃でさえ、そうだったのです。 逆流症を患っている方が薬をやめて経験する再発には、病気そのものの再発とこのリバウンドが混ざっている可能性がある、ということです。
そこで、二つのことをお伝えします
一つ目、薬を自己判断でやめないでください。
急な中止は、かえって症状を大きくすることがあります。減らす・やめるという判断は、必ず処方を受けた医療機関と相談して行ってください。
そして、はっきりさせておきます。胃酸抑制薬は悪い薬ではありません。 この病気の効果的な第一選択の治療であり、飲み続けるのが適している方もいらっしゃいます。問題は薬ではなく、計画のない中止です。
二つ目、「薬がないとだめな胃」という結論は早すぎるかもしれません。
やめたときのあの夜がリバウンドなら、それは胃の実力ではなく、通過点の問題です。
だとすれば、すべきことは自分を責めることではなく、設計することです。薬がしていた仕事を減らしてもよい条件を、薬を続けたまま先につくっておくことです。
その条件には、根拠のある材料があります
逆流を生む生活条件を、実際に測定した研究があります。
ベッドの頭側を高くして寝るだけで、食道が酸にさらされる時間が21%から15%に減りました。夕食を遅く食べると、横になったときの酸への曝露がはっきり増え、体重を減らすと酸への曝露時間が減りました。
薬のように劇的ではありません。ただ、薬と違って、やめてもリバウンドのない治療です。
ですから当院では、これらを助言ではなく処方として扱います。夕食から就寝までの間隔、ベッドの頭側の高さ、体重の目標を具体的に決め、次の診療で確認します。
ここに当院の治療が加えるものがあります。薬でコントロールできない症状で、鍼治療を検証した臨床試験があります。薬の用量を2倍に上げた側より、鍼を加えた側のほうが良かったという、30人規模の研究です。
胃腸の動き、敏感になった感覚、ストレスや睡眠と絡んだリズムは薬が扱わない領域なので、当院が腹診と検査をもとに担います。ただし研究の規模が大きくないため、期待をふくらませず、そのままお伝えするのが原則です。
順番はこうです
まず、確認します。 飲み込みにくい、体重が減っている、黒い便が出る、中年以降に初めて出た症状である、という場合は内視鏡が先です。検査を受けていない場合や、受けてから時間がたっている場合も同じです。
次に、薬はそのままにして条件をつくります。 服用中の薬を続けながら、生活の処方と鍼・韓方薬の治療で、逆流を生む条件を減らしていきます。当院が薬をやめさせることはありません。
そして、記録を持って相談していただきます。 症状日誌が良くなり、薬なしでも楽でいられる条件が確認できたら、その記録を持って、処方を受けた医療機関と調整を相談していただくようご案内します。調整の判断は処方した医療機関の役割で、当院の役割は、その判断ができる胃腸をつくることです。
当院が睡眠と消化をどのような順番で診ているかは、診療案内にまとめてあります。
今日していただきたいこと、ひとつ
薬を飲むかどうか毎晩迷わなくていい日。遅い飲み会の翌日が怖くない朝。当院が目指しているのは、そんな状態です。
ペースは、症状のタイプや体重、服用してきた期間によって人それぞれ異なります。ただ、今日してはいけないことははっきりしています。今夜いきなりやめることです。
その代わり、今日はこれだけ書き出してみてください。飲んでいる胃腸薬の名前と服用期間、そして症状が主にいつ起こるのか。夜横になるときなのか、食後なのか。
そのメモを持って来ていただければ、 薬なしでも楽でいられる胃腸をつくる計画を一緒に立てます。
ご相談・ご予約はページ右下のメッセンジャーから日本語でどうぞ。お電話は +82-53-716-1175 です。
リバウンドの実験と生活処方の研究の出典は、院長コラム薬をやめると、また上がってくる胃酸にまとめてあります。
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