不眠症に鍼が役立つという根拠はありますか?
30秒でわかるポイント
- 不眠症に鍼が役立つという研究が46件集められています。
- 睡眠時間が延びた人の割合で、鍼のほうが上回りました。
- ただし酸棗仁湯(さんそうにんとう)については、まだ根拠が十分でないと著者たちが述べています。
- 眠れない原因が甲状腺や睡眠時無呼吸である場合もあるため、そちらの確認が先です。
- 服用中の睡眠薬はご自身の判断でやめず、処方した医療機関とご相談ください。
参考文献
Cao H, et al. Acupuncture for treatment of insomnia: a systematic review of randomized
controlled trials. J Altern Complement Med. 2009;15(11):1171-86. PMID 19922248
Xie CL, et al. Efficacy and safety of Suanzaoren decoction for primary insomnia.
BMC Complement Altern Med. 2013;13:18. PMID 23336848
よく伺うお悩み
- 「寝つけはするんですが、明け方3時になると目が覚めてしまって。」
- 「一度目が覚めると、いろんな考えが押し寄せて朝まで寝返りばかりです。」
- 「鍼で眠りが良くなるって、本当ですか?」
不眠症に鍼が役立つという根拠はありますか?
あります。46件の無作為化研究をまとめて分析した結果、鍼治療を受けた側で、総睡眠時間が3時間以上延びた人の割合がより高くなりました。ただし、集められた研究の質はばらついています。
「眠れない」という言葉には、いくつもの種類が混ざっています。横になってもなかなか寝つけない方、夜中や明け方に目が覚める方、眠ってはいるのにすっきりしない方は、それぞれ違います。根拠を見るときにも、その区別が必要です。
どんな研究ですか?
不眠症を対象とした無作為化研究46件、参加者3,811人をまとめて分析した研究です。鍼治療と薬物治療を比較しました。
結果はこうでした。総睡眠時間が3時間以上延びた人の数で、鍼のほうが上回りました。薬と鍼を併用した場合のほうが、薬だけの場合より総睡眠時間で優れていたという結果もありました。
| 研究 | デザイン | 対象 | 主な結果 | 根拠のレベル |
|---|---|---|---|---|
| Cao 2009 | ||||
| J Altern Complement Med | ||||
| 15(11):1171-86 | ||||
| PMID 19922248 | メタ分析 | |||
| 無作為化研究46件 | 3,811人 | |||
| 不眠症 | 総睡眠時間が3時間以上延びた | |||
| 患者数で鍼が薬を上回った | ||||
| RR 1.53 (95% CI 1.24–1.88, p<0.0001) | 中程度 | |||
| Xie 2013 | ||||
| BMC Complement Altern Med | ||||
| 13:18 | ||||
| PMID 23336848 | システマティックレビュー | |||
| 無作為化研究12件 | 1,376人 | |||
| 原発性不眠症 | 著者の結論:研究の質が低く、 | |||
| 酸棗仁湯の効果を裏づけるには | ||||
| 根拠が不十分である | 低い |
韓方薬はどうですか?
不眠症によく使われる酸棗仁湯を扱った研究はありますが、その研究の著者たちは根拠が十分でないと結論づけました。集められた研究の質が低かったためです。
この点を素通りせずに書くのには理由があります。良い結果が出た部分だけを選んで書くと、読む方が実際以上に期待してしまいます。酸棗仁湯が効かないという意味ではなく、よく設計された研究がまだ足りないという意味です。
この根拠の限界は何ですか?
どちらの研究も発表から10年以上が経っています。その間により良い研究が出ている可能性があり、ここには反映されていません。
付け加えます。第一に、鍼の研究46件はデザインも質もばらついています。第二に、「睡眠時間3時間増加」は睡眠の長さだけを見たものです。どれだけすっきりしたか、日中の調子はどうかは別の問題です。第三に、眠れない原因には、甲状腺の病気、睡眠時無呼吸、うつのように別に扱うべきものがあります。そちらの確認が先です。
では、診察室ではどうしているのですか?
まず、どんな種類の不眠かを分けます。横になっても寝つけない、明け方に目が覚める、眠ってもすっきりしない――それぞれ取り組む方向が違います。
服用中の睡眠薬があれば、急にやめないようお伝えします。やめるかどうかは処方した医療機関と相談すべきことで、当院が決めることではありません。いびきがひどい、寝ている間に呼吸が止まることがあるといった場合は、まず睡眠検査をおすすめします。
当院は鍼を打つ前に、どんな種類の不眠かをまず見分けます。 寝つけないのと、途中で目が覚めるのとでは、見るべきところが違います。
眠れないせいで日中が崩れてしまっているなら、一度いらしてください。 どちらのタイプかを見分けるところから始めます。
眠りの問題は原因がいくつもあるため、同じ治療をしても結果は人それぞれです。
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