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2026年11月7日

「コーヒーを飲んでもよく眠れる」、本当にそうでしょうか

キム・ジフン
医療監修 キム・ジフン 代表院長

夜にコーヒーを飲んでも横になれば眠れるのに、昼間はコーヒーなしではつらいと感じているなら

30秒でわかるポイント

  1. カフェインは疲れを消しません。脳が疲れに気づくセンサーを覆い隠し、疲れを感じにくくしているだけです。
  2. 健康な大人でも、コーヒーを飲んで5〜6時間たっても、かなりの量のカフェインが体に残っています。
  3. 寝る6時間前に飲んだカフェインでも、実際の睡眠時間が1時間以上減ったのに、本人たちはほとんど気づかなかったという研究があります。
  4. 午後のコーヒー → 減った夜の睡眠 → 朝のコーヒー → 午後の疲れ → また午後のコーヒー。この循環の中では、コーヒーがどうしても必要だという感覚そのものが、睡眠不足のサインかもしれません。
  5. コーヒーをやめる必要はありません。寝る時刻から6時間を引いて、その日の最後のカフェインの時刻を決めてください。

よく伺うお悩み

  • 「私はコーヒーを飲んでもよく眠れます。」
  • 「夕食後に1杯飲んでも、横になればすぐ眠れます。」
  • 「でも朝はまずコーヒー、午後3時にはまぶたが下がってきます。」
  • 「コーヒーをやめないといけませんか?それはできそうにないんですが。」

診察室で睡眠の話をしながらコーヒーについて伺うと、多くの方がこうお答えになります。夜に飲んでも横になれば眠れる、と。

ところが、そういう方が朝起きるとまずコーヒーを探し、午後3時にはまぶたが重くなり、それでまた1杯飲みます。夜の睡眠とは関係なさそうなのに、一日中コーヒーなしではつらい状態です。

今日は、この二つがどうつながっているのかをお話しします。

コーヒーを飲むと、疲れは消えるのですか?

消えません。隠れるだけです。

前回のコラムで、睡眠圧のお話をしました。起きている間、脳には睡眠圧が砂のように積もり、その圧力が夜の眠りをつくる、と。体内時計の専門書によると、この圧力をつくる代表的な物質がアデノシンです。起きているほど脳にたまり、脳はそれを感知して「疲れた、眠らなければ」と感じます。

カフェインは、まさにこの感知装置をふさぎます。アデノシンはそのままに、脳が気づかないようセンサーを覆い隠すのです。砂は積もり続けているのに、砂の高さを測る目盛りだけが隠された状態です。

だからコーヒーを飲むと疲れが消えたように感じますが、実際の疲れはそのまま残っています。長距離運転が危ないのもこのためです。カフェインの効果が切れた瞬間、隠れていた疲れが一気に押し寄せ、ハンドルを握ったまま一瞬眠り込んでしまうこともあります。

コーヒー1杯は、どれくらい体に残りますか?

思ったより長く残ります。

体内時計の専門書によると、健康な大人でもコーヒーを飲んで5〜6時間たっても、かなりの量のカフェインが体に残っています。体重、妊娠しているかどうか、飲んでいる薬、肝臓の健康、普段の習慣によって差は大きいものの、午後に飲んだ濃いコーヒー1杯が夜の寝つく時刻を遅らせうる理由です。

そのため不眠症治療の専門書は、基本の睡眠ルールに「カフェインは寝る少なくとも6時間前まで」を入れています。

「それでも私はよく眠れていますが?」

まさにその感覚を試した研究があります。

睡眠に問題のない健康な大人に、カフェイン400mg(濃いコーヒー2〜3杯分)を寝る直前、3時間前、6時間前にそれぞれ飲んでもらい、自宅で睡眠計測器を使って睡眠を測りながら、本人が感じた睡眠もあわせて記録してもらいました。

  • 機械で測った睡眠:寝る6時間前に飲んだカフェインでも、総睡眠時間が1時間以上減りました。
  • 本人が感じた睡眠:6時間前に飲んだときは、睡眠が妨げられたことにほとんど気づきませんでした。

研究チームは、午後に飲んだカフェインについて、人はその影響に気づかない傾向があるとまとめています。12人を対象にした小さな研究で、カフェインの量も少なくなかった点は考慮が必要です。それでも、この研究が示していることははっきりしています。

「コーヒーを飲んでもよく眠れる」は嘘ではなく、気づいていないだけかもしれません。

なぜ一日中コーヒーを探してしまうのですか?

循環ができてしまうからです。

午後のコーヒー → 知らないうちに夜の睡眠が1時間減る → 朝もっと疲れている → 朝のコーヒー → 効果が切れた午後に疲れが押し寄せる → また午後のコーヒー。

専門書は、午後に疲れが押し寄せるこの現象をカフェイン・リバウンドと呼んでいます。この循環の中にいる方は、コーヒーのせいで夜の睡眠を失っていることに気づきにくくなります。夜の睡眠が減って生じた疲れを、コーヒーがまた隠してしまうからです。

体内時計の専門書は、体のリズムが乱れているサインとして「カフェインが必要で、甘い飲み物がほしくなる」を挙げています。コーヒーがどうしても必要だという感覚そのものが、睡眠不足のサインかもしれません。

では、コーヒーはやめるべきですか?

やめる必要はありません。変えるのは最後のカフェインの時刻です。

朝のコーヒーは睡眠圧がほぼゼロの時間に飲むものなので、夜の睡眠への影響は小さいです。問題は午後と夕方です。

第一に、寝る時刻から6時間を引いてください。夜11時に寝るなら午後5時、夜10時なら午後4時が、その日の最後のカフェインの時刻です。それ以降はカフェインレス、穀物茶、白湯に切り替えてください。

第二に、隠れたカフェインを探してください。コーヒーだけではありません。緑茶や紅茶、コーラ、チョコレート、エナジードリンク(1缶に70〜240mg、コーヒー1〜2杯分)、一部の頭痛薬にもカフェインが入っています。夕食後の緑茶1杯が、その日の最後のカフェインかもしれません。

第三に、2週間だけ比べてみてください。1週目はいつもどおり、2週目は6時間ルールを守りながら、寝つくまでにかかった時間と朝のすっきり感を書き留めてください。感覚では違いがわからないこともある、というのが先ほどの研究の教訓ですから、記録で比べることが大切です。

もっと早めにやめたほうがよい方もいます。不眠症のある方、妊娠中の方、肝臓の病気がある方や、カフェインの分解に影響する薬を飲んでいる方は、カフェインが体に長く残ることがあります。こうした方は6時間より早い時刻を目安にすることもあり、診察で一緒に決めます。

こんな場合は、確認が先です

  • 夜に十分眠っているのに昼間に耐えられないほど眠く、いびきがひどい、または寝ている間に息が止まっているようだと言われる → 睡眠時無呼吸の検査が先です。
  • 疲れとともに2週間以上気分が沈んでいる → 心の面の診療もあわせておすすめします。

コーヒーを減らしても昼間の眠気が変わらないなら、カフェイン以外の原因を先に探す必要があります。

当院の進め方

第一に、昼と夜をあわせて診ます。1〜2週間の睡眠日誌に、夜の睡眠とあわせて一日のカフェイン(種類・時刻・量)を書いてお持ちいただくと、カフェインが夜の睡眠をどれだけ削っているか、夜の問題が昼のコーヒーを呼んでいるのかが見えてきます。血液検査と腹診・脈診で、昼間の疲れをつくる体の状態もあわせて診ます。

第二に、循環を断ちます。最後のカフェインの時刻、一定の起床時刻、朝の光、昼寝のルールで一日の時間割を組み、鍼(はり)・薬鍼(やくしん)と検査に合わせた韓方薬で、昼の疲れと夜の覚醒を調整します。コーヒーで隠してきた疲れの原因を別に扱わなければ、コーヒーを減らせないからです。ベッドの上で目が冴えている時間が長いなら、ベッドの再学習もあわせて行います。

第三に、日誌で確認します。最後のカフェインの時刻を早めたあと、寝つくまでの時間と朝の状態が変わるかを一緒に確認します。根拠のない治療はいたしません。

こう変わります

朝の1杯は楽しみながら、午後のコーヒーなしでも過ごせる体。コーヒーを飲まずにはいられない一日から、飲んでも飲まなくてもいい一日へ。

当院が目指しているのは、そこです。

カフェインへの反応と適切な時刻は、体重、飲んでいる薬、肝臓の状態、習慣によって人それぞれ異なります。

今日のまとめ

「コーヒーを飲んでもよく眠れる」は、気づいていないだけかもしれません。コーヒーをやめるのではなく、寝る時刻から6時間を引いて、最後の1杯の時刻だけを早めてください。

今日やっていただきたいことは一つです。今日最後にカフェインをとった時刻を書き留め、寝た時刻の何時間前だったかを数えてみてください。6時間に満たなければ、明日はその1杯だけを1時間早めてみてください。1週間の記録をお持ちいただければ、残りは一緒に見ていきましょう。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。

夜中に目が覚めて眠れなくなる不眠の根拠は、院長コラム途中で目が覚めるのも、不眠症ですにまとめてあります。

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参考文献

  1. Drake C, Roehrs T, Shambroom J, Roth T. Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed. J Clin Sleep Med. 2013;9(11):1195-1200. doi:10.5664/jcsm.3170. PMID: 24235903

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キム・ジフン

キム・ジフン 代表院長

検査では異常がないと言われたのに、不調が続いている方を診ています。お腹を押して診る腹診、舌を見る舌診、脈をとる脈診で体の状態を確かめ、確認したことを数字で記録して、次の診療のときに比べます。 痛みについては、痛む場所だけを見ることはしません。足の着地のしかたや顎のバランス、歩き方から原因を探します。治療の方針をご説明するときは、どの学術誌のどの研究なのかもあわせてお伝えします。ご自身で確かめられてこそ根拠だと考えています。

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