ストレートネック矯正バンド、購入する前に知っておきたいこと
目次
買わないでくださいという記事ではなく、何を買うのかを知ったうえで買ってくださいという記事です
30秒でわかるポイント
- 矯正バンドが首・肩の痛みを減らすという質の高いエビデンスは、まだ確立されていません。 ただし、ないことは「効果がないという証明」ではありません。きちんと検証されていないという意味です。
- さらに手前の問題があります。この商品が拠って立つ前提、「ストレートネックだから痛い、だから角度を伸ばせば治る」という論理そのものが、研究で確定していません。
- バンドに使い道がないわけではありません。ただ、現実的な役割は矯正器具ではなく、リマインダーです。そのリマインダーは、画面の高さとタイマーでもつくれます。
- そして、バンドが代わりに引っ張ってくれている間、肝心の首を支える自分の力は鍛えられません。
- 臨床試験27本を集めた結論ははっきりしています。慢性的な首の痛みを減らしたのは、首・肩・肩甲骨の力を鍛える筋力強化運動でした。
よく伺うお悩み
- 「カートに入れたまま、何日も迷っています。」
- 「動画を見ると、つけた瞬間に肩がぐっと開いていました。」
- 「病院に行くほどではない気がするけれど、何かしてみたくて。」
- 「レビューが何千件もあるんだから、効果があるんでしょう。」
首も重いし、病院に行くほどではない気がするし、何かしてみたい。そうお考えなら、購入ボタンを押す前に3分だけ読んでみてください。
同じ補助具なのに、答えが違った理由
当院は、補助具の話を二度してきました。
腰のコルセット編では、「コルセットが筋肉を弱くするという話は、これまでの研究では裏づけられていない」とお伝えしました。頸椎カラー編では、「事故のあとにカラーをつけて安静にしたほうがよかったという試験はない」とお伝えしました。
同じ補助具なのに、答えが違いました。理由は一つです。病気が違えば、エビデンスも違うからです。
では、矯正バンドのエビデンスはどうでしょうか。
結論から申し上げます
矯正バンドが首と肩の痛みを減らすという質の高いエビデンスは、まだ確立されていません。
ないことは「効果がないという証明」ではありません。きちんと検証されていないという意味です。
ところが、この商品には検証不足よりさらに手前の問題が一つあります。商品が拠って立つ前提そのものです。
「ストレートネックだから痛い」は、まだ確定していません
姿勢と首の痛みの関係を測った研究15本を集めて分析した結果を見てみましょう。
首が痛い大人は、痛くない大人より、頭が前に出ている度合いが平均4.8度大きくなっていました。ここまでは広告と一致します。
ところが、さらに二つのことがあります。
一つ目、スマートフォンをもっともよく見る青少年では、姿勢と痛みの関連がありませんでした。
二つ目、こちらのほうが重要なのですが、これらの研究はある一時点を切り取ったものなので、ストレートネックだから痛いのか、痛いから首をすくめているのか、その方向がわかりません。 痛む首は、自然と頭を前に出す姿勢をとるものですから。
原因なのか結果なのかわからない角度をバンドで引っ張っておけば痛みが治る、という保証は、少なくとも今の研究ではできません。
では、まったく役に立たないものなのでしょうか
そうでもありません。
バンドをつけてみた方が共通しておっしゃる効用があります。背中を丸めるたびに引っ張られる感じがするので、姿勢を自覚するようになるということです。
つまり、バンドの現実的な役割は矯正器具ではなく、リマインダーです。
ただし、二つのことを知っておいてください。そのリマインダーは、スマートフォンのタイマーと画面の高さの調整でもつくれること。そして、バンドが代わりに引っ張ってくれている間、肝心の首を支える自分の力は鍛えられないことです。
その「力」の話こそが本題です
首の痛みの治療を検証した臨床試験27本を集めた分析の結論は、方向がはっきりしています。
慢性的な首の痛みを減らしたのは、首と肩・肩甲骨の力を鍛える筋力強化運動で、ストレッチだけではエビデンスが不足していました。
伸ばすのでも、引っ張ってもらうのでもなく、鍛えること。
バンドの値段があれば、十分に始められます。そして、やめても消えない治療です。
最高の姿勢は、次の姿勢です
姿勢については、この一文をお伝えしたいと思います。
痛みをつくるのは、一つの悪い姿勢ではなく、どんな姿勢であれ長く固定されることです。完璧な姿勢を探して固まっているより、こまめに変えてこまめに動く首のほうが楽なのです。
バンドで一つの姿勢に縛っておくという発想とは、正反対の方向です。
購入前のチェックリスト
今は首が痛くなく、予防が目的なら。 バンドの代わりに、画面の高さを目線まで上げ、50分ごとに姿勢を変えるアラームから試してみてください。無料です。
今、首が痛いなら。 バンドは、原因の確認を先延ばしにする道具になりがちです。特に、腕までしびれる、力が入らない、夜休んでいても痛む、けがのあとに始まった痛みであれば、姿勢の話ではなく、神経と構造の確認が先です。この場合、当院でもバンドや運動の話をする前に、同じビル2階の画像診断科と連携して確認から行います。
確認の結果、筋肉と動きの問題なら
当院の順番はこうです。
鍼(はり)・薬鍼(やくしん)・推拿(チュナ)治療で痛みとこわばった動きに取り組み、運動ができる首をつくります。筋力強化運動を、やり方と回数まで決めてお伝えし、次の診療のときに確認します。体型検査で測った出発点と、痛み・可動域を比べて、数字で経過を見ます。
角度はお約束しません。 目標は角度ではなく、痛みと機能だからです。当院が首をどんな順番で診ているかは、診療案内にまとめてあります。
今日の選択はシンプルです
引っ張ってくれるバンドがなくても、一日の終わりに首が重くないこと。モニターの前で何時間過ごしても、首を意識しなくなること。当院が目標にしているのは、そちらです。
経過は、痛みの原因、お仕事の環境、今の筋力によって人それぞれです。
カートの中のバンドは、いったんそのままにしておいてください。 そして今日は、これだけ試してみてください。画面を目線まで上げ、首が痛いかどうかを自分に聞いてみること。
痛くなければお金を節約できたということですし、痛いなら、その答えを持っていらしてください。バンドより良い計画を一緒に立てます。
ご相談・ご予約はページ右下のメッセンジャーから日本語でどうぞ。お電話は +82-53-716-1175 です。
姿勢と痛みの研究15本、運動療法の研究27本の出典は、院長コラムストレートネックだから痛いのか、痛いからストレートネックになるのかにまとめてあります。
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