脊柱管狭窄症に運動は役立ちますか?
目次
30秒でわかるポイント
- 運動で狭くなった通り道が広がることはありません。
- その代わり、歩ける距離を延ばすことには役立ちます。
- 腰を後ろに反らす動作は、通り道をさらに狭くします。
- つらくなる前に休んでまた歩くほうが、合計の距離が延びます。
- 脚の力が抜ける、排尿・排便がうまくいかない場合は、手術の相談が先です。
よく伺うお悩み
- 「少し歩くと脚がしびれて、座って休まないと進めません。」
- 「スーパーでカートを押していると少し楽なんです。」
- 「運動しなさいと言われても、何をどうすればいいのかわかりません。」
脊柱管狭窄症に運動は役立ちますか?
狭くなった部分を運動で広げることはできません。ただ、歩ける距離を延ばし、休む間隔を広げることには、運動が実際に役立ちます。
この区別を先にお伝えするのには理由があります。「運動で治療する」と聞くと、狭くなった通り道が広がると期待してしまいます。そうはなりません。変わるのは、その狭い道を通る条件です。
狭窄症とは、正確にはどういうものですか?
背骨の中には、神経が通る通り道があります。その通り道が狭くなり、神経が圧迫された状態を脊柱管狭窄症といいます。
下水管を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。管の中にごみが詰まると、水がうまく流れません。脊柱管も、骨や靭帯が厚くなることで神経の通る場所が狭くなります。
なぜ歩いている途中で休まなければならないのですか?
腰を伸ばして歩くと通り道がさらに狭くなり、座ったり腰をかがめたりすると広がるからです。そのため、歩いてつらくなっても、少し座ればまた歩けるようになります。
「3分ほど歩くと止まって休まないといけない」「腰をかがめると少し楽」というお話は、この病気の典型的な姿です。座っているときや横になっているときは何ともないのも、同じ理由です。
この性質が、運動を決める基準になります。腰を後ろに反らす動作は通り道をさらに狭くするので避け、腰を軽く曲げる方向の動作と、体幹を支える運動を用います。
家では何をすればいいですか?
体幹の深い筋肉を立て直す運動と、固くなったお尻・太ももの裏の筋肉をほぐす動作が基本です。歩くときは休む間隔を決めておき、分けて歩きます。
歩くことをすっかりやめてしまうと、かえって歩ける距離が短くなります。つらくなるまで歩いて座り込むのではなく、つらくなる前に座って休み、また歩くほうが良いのです。同じ30分歩いても、分けて歩くと合計の距離が延びます。
どの動作が合うかは人によって違います。行ったあとに脚のしびれが強くなる動作は、その方には合わない動作です。
この判断の限界は何ですか?
狭窄症にどの運動がいちばん良いかを比べて確かめた資料を、当院は持っていません。ここに書いたのは、この病気の性質から導いた原則です。
付け加えます。歩ける距離が急に短くなっている、脚の力が抜ける、排尿・排便のコントロールが難しいという場合は、手術の相談が先です。運動で持ちこたえる状況ではありません。
当院では運動をおすすめする前に、今どれくらい歩けるかを測ります。 同じ運動でも、歩ける時間が何分かによって処方が変わります。
運動しなさいと言われたものの何をすればいいかわからない方は、いらしてください。 今の状態でできることから決めていきます。
狭くなった程度や歩く力によって、運動の効果は人それぞれです。
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