頸椎カラー、いつまで着けていればよいですか
30秒でわかるポイント
- 事故後の頸椎カラーについては、めずらしく答えがはっきりしています。カラーを着けて安静にしたほうが良かった試験はありません。
- 458人を3つのグループに分けた大規模な試験では、カラーで固定、普段どおりに生活、積極的に運動、の1年後の結果は同じでした。
- むち打ち損傷で傷つく筋肉や靭帯は、動かしながら治っていく組織です。長く固定すると、痛みの理由が損傷から「固まり」へと入れ替わります。
- カラーの出番がまったくないわけではありません。困るのは「いつまで」が決まっていない着用です。
- 腕に力が入らない、しびれるといった場合は、カラーを外すかどうかの問題ではありません。骨折と神経損傷の除外が先です。
よく伺うお悩み
- 「救急外来で着けてもらったんですが、いつ外していいかは言われませんでした。」
- 「着けていると安心なんですが、外すとなんだか不安で。」
- 「外したら、もっと悪くなるんじゃないかと思って。」
- 「でも、首がだんだん硬くなっている気がするんです。」
事故の翌日に来院される方の首には、救急外来で着けてもらったカラーがそのまま付いています。そして、ほとんど同じ質問をされます。これはいつまで着けていればいいのか、と。
問題は、誰も教えてくれなかったことです。救急外来は急を要するものを見分ける場所なので、その後の予定までは決めてくれません。そのため、外してよいという言葉を聞けないまま着け続けることになります。着けていると安心で、外すとなんだか不安で、うっかり外してもっと悪くなったらどうしよう、と思ってしまう。そうして2週間が過ぎ、3週間が過ぎます。その間に、首はだんだん硬くなっていくように感じます。
この質問については、めずらしく答えがはっきりしています。
事故後にカラーを着けて安静にしたグループと、早くから首を動かしたグループに分けて比べた臨床試験が何件もあります。結果は一つの方向を向いています。カラーを着けて安静にしたほうが良かった試験はありません。 早く動かしたほうが良かったという試験があり、458人を3つのグループに分けた大規模な試験では、カラーで固定したグループ、普段どおりに生活したグループ、積極的に運動したグループの1年後の結果は同じでした。固定が独自の効果を生んだわけではない、ということです。固定が回復を早めるという根拠はありません。
なぜかというと、むち打ち損傷で傷つくのが筋肉と靭帯だからです。これらの組織は、動かしながら治っていきます。適度に動かしてこそ血が巡り、治っていく方向が定まり、関節が固まりません。反対に長く固定しておくと、痛みの理由が変わってしまいます。最初はけがをしたから痛かったのが、あとになると固まったから痛むのです。カラーを長く着けた首がだんだん硬くなっていく感じは、気のせいだけではないかもしれません。
腰のコルセットの話と逆ではないですか
以前の記事 親のコルセット、外すように言うべきでしょうか を読まれた方は、ここで引っかかるかもしれません。あの記事では、腰のコルセットを長く着けても筋肉が弱くなるという根拠はなかったとお伝えしたのに、頸椎カラーはなぜ逆なのか、と。
病気が違うからです。
腰のコルセットの話は、脊柱管狭窄症でした。神経の通り道が狭くなって歩くのがつらくなる病気です。頸椎カラーの話は、むち打ち損傷です。動かしてこそ治る軟部組織の損傷です。同じ「装具」という名前だからといって、答えまで同じになるわけではありません。当院が装具であれ鍼であれ、まず病名を確かめてからお話しするのは、このためです。
では、まったく使ってはいけないのですか
そういうわけでもありません。
最初の数日、痛みがひどいとき。長時間車に乗らなければならないとき。寝ている間に少しだけ。このように場面を決め、期間を決めて使うところまでは、判断の問題です。困るのは「いつまで」が決まっていない着用です。そのため、カラーを着けて来院されたら、当院は初診でまずそれを決めます。もう少し続けるのか、いつからどのように減らすのか。
もちろん順番があります。腕に力が入らない、しびれる、事故直後から首の真ん中がひどく痛んだ、といった場合は、カラーを外すかどうかの問題ではありません。まず骨折と神経損傷を除外しなければなりません。こうした所見が見られれば、当院も治療より先に、同じビル2階の画像診断科での確認や必要な診療のご案内を行います。
除外が済んだら、その次は、カラーが代わりに担っていた仕事を首に返していく過程です。鍼と薬鍼で痛みと炎症を扱って動かせる状態をつくり、推拿(チュナ)治療でゆがんだ並びと固まった動きをほぐし、痛くない範囲で首の運動を少しずつ増やしていきます。痛みの点数と首の回る角度は記録しておき、あとで比べます。回復がもっとも活発な 最初の3か月 のうちに、軌道を確かめるためです。交通事故の診療では、鍼・薬鍼・推拿(チュナ)治療・韓方薬に韓国の自動車保険が適用されます。手続きは 交通事故後遺症の診療案内 にまとめてあります。
カラーなしでバック駐車ができる日が来ます。外すのが不安でない日も来ます。ただ、その日はカラーを長く着けたから来るのではなく、首が本来の力を取り戻したから来るのです。どれくらいかかるかは、損傷の程度や最初の痛みの強さによって人それぞれです。方向だけは同じです。固定から動きへ。
頸椎カラーを着けて何週間か経つのに、いつまでと言われたことがないなら、その答えを決めにいらしてください。
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安静と早期の活動を比べた臨床試験の原文の書誌は、院長コラム 交通事故、検査は正常なのに痛むとき にまとめてあります。
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