肩がこわばっているのに、なぜ血糖を聞かれるのでしょう
目次
肩の相談に来たのに、血糖検査をいつ受けたか聞かれたなら
30秒でわかるポイント
- 研究18本を集めた分析で、糖尿病があると五十肩(肩関節周囲炎)になる可能性が約5倍でした。糖尿病のある方の7〜8人に1人ほどが五十肩を患っていました。
- 逆から見ると、五十肩の患者10人に約3人は糖尿病がありました。その中には、糖尿病だと気づかずに過ごしていた方もいるかもしれません。
- 血糖が長く高いと、組織が砂糖水のついた輪ゴムのように硬くなり、肩を包む袋もこわばりやすくなる、という説明が有力です。
- 糖尿病を伴う五十肩は長引く傾向があるので、期間を長めに見て、角度を記録しながら進めます。
- 肩に注射を受けることになったら、糖尿病があることを必ず伝えてください。 注射によっては、血糖が一時的に上がることがあります。
よく伺うお悩み
- 「肩のことで来たのに、どうして血糖を聞くんですか?」
- 「糖尿病は内科で別に診てもらっていますが、肩と関係があるんですか?」
- 「健康診断をいつ受けたか覚えていません。」
- 「人より肩がなかなかほぐれない気がします。」
肩が痛くて韓医院に来たのに、診察室でこんな質問をされます。
「糖尿病はありますか?最後に血糖検査を受けたのはいつですか?」
肩の話をしに来たのに、なぜ血糖なのでしょう?少し不思議に思われたかもしれません。五十肩と糖尿病は、思ったよりずっと近い関係にあります。そのため、この質問は肩のためにも、肩の向こうにある体全体のためにも大切なのです。
糖尿病があると、五十肩は約5倍
五十肩と糖尿病の関係を扱った研究18本を集めて分析した結果があります。
- 糖尿病のある人は、ない人より五十肩になる可能性が約5倍高くなっていました。
- 糖尿病のある人のうち五十肩を患っている割合は約13%、7〜8人に1人ほどでした。
- インスリン注射を使っているか、飲み薬を使っているかによる、はっきりした違いはありませんでした。治療方法より、糖尿病そのものが関係しているということです。
さらに、糖尿病を伴う五十肩は、経過がより長く、頑固であることが知られています。同じ五十肩でも、糖尿病があるなら、予想される経過を最初から違うものとして考える必要があります。
なぜそうなるのでしょう?
原因がすべて解明されたわけではありませんが、有力な説明があります。
血糖が長い間高いと、体の組織をつくるたんぱく質に糖がくっつき、組織がだんだん硬く、こわばっていきます。砂糖水のついた輪ゴムが乾いて固まり、伸びにくくなるのと似ています。肩関節を包んでいる袋もこの影響を受け、厚くなったり縮んだりしやすい状態になる、という説明です。
もっと注目すべき数字は、反対側にあります
同じ分析で、五十肩の患者10人に約3人は糖尿病がありました。
その中には、ご本人が糖尿病だと気づかずに過ごしていた方もいるかもしれません。肩がこわばって受診し、それをきっかけに血糖の問題を初めて知る、というケースです。そのため研究者たちも、五十肩で受診した患者には糖尿病の検査を検討すべきだと結論に記しています。
こわばった肩は、肩からのサインであると同時に、体全体からのサインかもしれません。 肩だけを見て済ませてしまうと、もっと大きな話を見逃すことがあります。
そのため、診察室でこう伺います
すでに糖尿病がある方には、最近の血糖管理の状況を伺います。
診断を受けたことがない方には、最後の血液検査がいつだったか、ご家族に糖尿病の方がいるかを伺います。
当院は血液検査をもとに診療しているので、必要であれば血液検査で血糖の状態もあわせて確認します。数値が高く出た場合は、糖尿病の診断と管理について、内科を受診していただくようご案内します。肩の治療と血糖管理は、一緒に進めるべきことです。
糖尿病があるなら、これも知っておいてください
一つ目、焦らないでください。 経過が長くなりうることを知ったうえで始めれば、数週間で一気によくならないからといって、がっかりしたりやめたりせずに済みます。期間は長めに見て、その代わり角度を記録し、少しずつ広がっていることを確かめます。
二つ目、運動の原則は同じです。 痛くない範囲で、根気よく。「突っ張る感じまでは大丈夫、刺すような痛みならストップ」という基準は、糖尿病があってもそのままです。詳しい動作は五十肩の運動の記事にあります。
三つ目、肩に注射を受けることになったら、糖尿病があることを必ず伝えてください。 注射の種類によっては血糖が一時的に上がることがあるため、処方する側が知っておく必要があります。
四つ目、血糖管理も肩の治療の一部です。 血糖が安定しているときとそうでないときでは、同じ治療をしても体が反応する条件が違います。内科の診療と肩の治療を一緒に続けることが、いちばんの近道です。
当院の進め方
一つ目、見分けます。 本当に五十肩なのか、腱の断裂のような別の原因ではないか、今どの時期にあるのかを見ます。糖尿病の有無と血糖の状態も、この段階であわせて確認します。必要であれば、同じビル2階の画像診断科と連携して肩を診ます。
二つ目、痛みを抑え、可動域を広げます。 夜の痛みから取り組み、こわばった範囲を広げていく順番は、夜、肩の痛みで目が覚めるならに書いたものと同じです。糖尿病がある場合は、血液検査と体成分検査の結果で回復の条件もあわせて確認し、血糖管理が必要であれば、内科も一緒に受診していただくようご案内します。
三つ目、角度で確認します。 糖尿病がある場合は、測り直す時期を少し長めに設定し、その代わり小さな変化も漏らさず記録します。決めておいた期間で角度が広がらなければ、同じ治療をくり返さずに再評価します。
こう変わります
肩がこわばったという不便が、自分の体をもう一度見直すきっかけになること。そうして肩もほぐれ、気づいていなかった血糖も管理できるようになること。
当院が目標にしているのは、そこです。
回復のスピードと最終的な可動域は、最初の症状がどれだけ重かったか、どれだけ長く患っていたか、糖尿病と血糖管理の状態によって人それぞれです。
今日のまとめ
肩がこわばっているなら、血糖も一度確認してみてください。 五十肩と糖尿病は、お互いを知らせるサインかもしれません。
今日やってみていただきたいことは一つです。最後に血液検査(血糖を含む)を受けたのがいつかを確認してみてください。健康診断の結果票があれば血糖の欄を探してみて、すでに糖尿病があるなら、最近の数値を書き留めておいてください。
肩がこわばっているのに、血糖検査から1年以上たっているなら、結果票を持っていらっしゃるか、先に検査を受けてみるのもよいでしょう。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。
五十肩の経過と治療のエビデンスは、院長コラム五十肩は放っておけば治ると聞きましたがにまとめてあります。
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参考文献
Zreik NH, Malik RA, Charalambous CP. Adhesive capsulitis of the shoulder and diabetes: a meta-analysis of prevalence. Muscles Ligaments Tendons J. 2016;6(1):26-34. doi:10.11138/mltj/2016.6.1.026. PMID: 27331029
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