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2026年10月22日

五十肩の運動、痛くても我慢して伸ばさないとほぐれないのでしょうか

キム・ジフン
医療監修 キム・ジフン 代表院長

歯を食いしばって腕を上げた日の夜、肩がもっとズキズキしたなら

30秒でわかるポイント

  1. 「五十肩は痛くても我慢して回さないとほぐれない」という話には根拠がありません。77人を2年間追跡した研究で、痛くない範囲で運動したグループのほうが、より多く、より早く良くなりました(89%対63%)。
  2. 五十肩(肩関節周囲炎)は、肩を包む袋が傷あとのようにでこぼこと厚くなったまま、くっついてしまう病気です。炎症が残っているときに無理にはがすと、新しい傷ができて、炎症がまたくっつきます。
  3. 運動は時期によって違います。痛む時期は固まらないようにそっと、固まった時期は範囲を少しずつ、ほぐれていく時期は守りながら力をつけます。
  4. 基準はひとつです。「突っ張る感じ」までは大丈夫で、「刺すような痛み」が来たら止めます。 その夜に痛みが強くなったり、翌日に腕が上がりにくくなったりしたら、量を一段階減らしてください。
  5. 人に持ち上げてもらうと上がるのに、自分では上げられない場合は、腱の問題の可能性があるため、運動より確認が先です。

よく伺うお悩み

  • 「五十肩は、痛くても我慢して無理に回さないとほぐれないと聞きました。」
  • 「壁に手をついて押し上げたら、その夜は眠れませんでした。」
  • 「翌朝は、腕がかえって上がりにくくなった気がします。」
  • 「私の我慢が足りないから、ほぐれないんでしょうか?」

「五十肩は、痛くても我慢して無理に回さないとほぐれないんだって。」

まわりでこんな話を聞いたことがあるでしょう。それで、歯を食いしばって壁に腕をつけて押し上げてみます。ドア枠にぶら下がってみたり、家族に腕を引っ張ってもらったりもします。

その夜、肩がもっとズキズキして眠れません。翌日、腕はかえって上がりにくくなった気がします。自分の我慢が足りなかったのでしょうか?

我慢が足りなかったからではありません。五十肩の運動は痛くない範囲でコツコツ行う運動であり、研究でもそちらのほうが良い結果でした。

五十肩の肩の中では、何が起きているのでしょうか?

肩関節は、薄い袋(関節包)に包まれています。五十肩は、この袋に炎症が起き、厚くなり、縮んでくっついてしまう病気です。

診察室ではこうご説明しています。転んで膝に傷ができると、治るときに最初のようになめらかにはくっつきません。でこぼこと厚くなったままくっつきます。肩の袋の中でも、似たようなことが起こります。このようにくっついてしまったものを癒着といい、そのために腕が上がらず、痛むのです。

では、くっついたものを無理にはがせばいいのでしょうか?

ここが落とし穴です。まだ炎症が残っている時期に無理にはがすと、新しい傷ができます。その傷がまたでこぼこと治っていく中で、炎症がまたくっつきます。押し上げた日の夜に肩がもっとズキズキした理由は、ここにあります。

強く伸ばしたグループと、そっと動かしたグループを、研究が比べました

五十肩の患者さん77人を2つの方法に分け、2年間追跡した研究があります。

  • 一方は、痛みを越えてまで強く伸ばし、関節を強く動かす集中的な治療を受けました。
  • もう一方は、痛くない範囲の中だけでやさしく運動しながら経過を見ました。

2年後、痛くない範囲で運動したグループは、89%が正常に近い肩の機能に達しました。そのうち64%は、1年以内にその水準に到達しました。強く伸ばしたグループは63%でした。結果も速さも、やさしいほうが優れていました。

ただし、77人規模の研究1本です。「強くすると必ず悪い」とまでは言えません。はっきりしているのは、「痛みを我慢した分だけ早く治る」という考えを裏づける結果はなく、むしろ逆の方向の結果が出た、ということです。

時期によって、運動が変わります

五十肩は、たいていいくつかの時期をたどります。時期ごとに運動の目標が違います。それぞれの時期がどう見えるかは五十肩の運動の回に別に書いていますので、ここではご自宅で行う動作をお伝えします。

第一に、痛む時期は、固まらないようにそっと動かしておきます。 じっとしていてもズキズキし、夜に痛みで目が覚める時期です。前かがみになって痛い腕をだらりと垂らし、体を軽く揺らして、腕が振り子のように小さく揺れるようにします。それで十分です。この時期は、運動より夜の痛みを抑えることが先です。

第二に、固まった時期は、範囲を少しずつ広げます。 痛みは少し減ったものの、腕が上がらない時期です。壁に向かって立ち、指で壁を歩いて登るように、ゆっくり上げていきます。良いほうの腕で棒やタオルを持ち、痛い腕を助けて上げるのもよいでしょう。「突っ張る感じ」までは大丈夫で、「刺すような痛み」が来たら、そこで止めます。

第三に、ほぐれていく時期は、広がった範囲を守り、力をつけます。 範囲が少しずつ戻ってくる時期です。肩まわりの筋肉も一緒に鍛えないと、また固まってしまいます。

回数や速さは、いまどの時期なのか、腕がどこまで上がるのかによって違うため、診療のときに一緒に決めます。やってみて、次の診療のときにどうだったかをお尋ねします。

運動がやりすぎだったかどうかを知る方法

運動しているあいだに軽く突っ張り、終わってからすぐに落ち着くなら、ちょうどよい量です。

その夜に痛みが目に見えて強くなる、あるいは翌朝に腕がさらに上がらなくなったら、量が多すぎたということです。 そのときは、やめるのではなく、一段階だけ減らしてください。

運動の前に確認すること

肩が固まるからといって、すべてが五十肩というわけではありません。

  • 人に腕を持ち上げてもらうと上がるのに、自分の力では上げられない
  • 転んだり、けがをしたりしたあとに始まった
  • 腕がしびれて、力が入らない

このうちひとつでもあれば、五十肩の運動を無理に行ってはいけません。特にひとつめは、肩の腱が断裂している(腱板断裂)可能性があります。ご自宅で見当をつける方法は五十肩だと思っていたら、違うかもしれませんに書いています。当院では、このような場合は同じビル2階の画像診断科と連携し、まず超音波やMRIで確認します。

当院の進め方

第一に、五十肩で間違いないか、いまどの時期なのかを見分けます。 自分で上げるときと、補助して上げるときを比べ、外側へ回す動きを見ます。糖尿病があるかどうかも必ずお尋ねします。糖尿病があると長引くことが多いため、見込まれる経過を変えてお伝えします。

第二に、夜の痛みがあれば、それから対処します。 眠れないほど痛む時期には、運動は前に進みません。鍼・薬鍼(やくしん)でまず痛みを下げ、痛みが下がった分だけ、推拿(チュナ)治療と運動で範囲を広げます。この順番をなぜ守るのかは、夜に肩が痛くて目が覚めるならに詳しく書きました。

第三に、角度で確かめます。 治療前に腕が前へ、横へ、外へ何度まで動くかを測っておき、決めた時点ごとに測り直します。決めた期間に角度が伸びなければ、同じ治療を繰り返さず、評価し直します。

こう変わります

棚の上の器を取ろうとして、ためらわない腕。背中に手を回して服を着られる朝。壁に引いた鉛筆の印が、数週間ごとに少しずつ上へ上がっていくこと。

当院が目指すのは、それです。

回復の速さや最終的な範囲は、最初の症状がどのくらい強かったか、どのくらい長く患ってきたか、糖尿病などの併存疾患によって、人それぞれ異なります。

今日のまとめ

五十肩の運動は、我慢した分だけ早くほぐれるわけではありません。 刺すような痛みの手前まで、毎日少しずつ、が基準です。

今日やっていただきたいことは、ひとつです。壁に向かって立ち、痛い腕の指で壁をゆっくり歩いて登ってみてください。刺すような痛みが来る直前で止め、その高さを鉛筆で壁に軽く印をつけておいてください。日付と一緒に。それが、あなたの肩の今日の基準点です。

その印が何週間も変わらない、あるいは夜の痛みで眠れないという方は、その日付と高さを持っていらしてください。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。

五十肩が自然に治るのか、どんな治療に根拠があるのかは、院長コラム五十肩は放っておけば治ると聞きましたがにまとめています。

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参考文献

Diercks RL, Stevens M. Gentle thawing of the frozen shoulder: a prospective study of supervised neglect versus intensive physical therapy in seventy-seven patients with frozen shoulder syndrome followed up for two years. J Shoulder Elbow Surg. 2004;13(5):499-502. PMID: 15383804

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キム・ジフン

キム・ジフン 代表院長

検査では異常がないと言われたのに、不調が続いている方を診ています。お腹を押して診る腹診、舌を見る舌診、脈をとる脈診で体の状態を確かめ、確認したことを数字で記録して、次の診療のときに比べます。 痛みについては、痛む場所だけを見ることはしません。足の着地のしかたや顎のバランス、歩き方から原因を探します。治療の方針をご説明するときは、どの学術誌のどの研究なのかもあわせてお伝えします。ご自身で確かめられてこそ根拠だと考えています。

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