「何回通えば良くなりますか?」脊柱管狭窄症の治療期間は、こう考えてください
目次
狭窄症の治療を始めて、いつ終わるのか途方に暮れていた方へ
30秒でわかるポイント
- 「何回で良くなる」と数字でお約束することはできません。 狭くなっている程度、狭くなっている箇所の数、患ってきた期間、脚の筋力が人それぞれ違うからです。
- 狭窄症を11年以上追跡した研究では、良くなった人、変わらなかった人、悪くなった人がほぼ同じ割合でした。ただ手をこまねいて待つ病気でも、あきらめる病気でもありません。
- そこで、何回通ったかの代わりに軌道を見ます。最初に基準値、最初の確認日、分かれ道の基準を一緒に決めます。
- 確認日に歩ける時間が延びていれば続け、変わらなければ方法を変え、悪くなっていれば手術の相談をご案内します。
- ご自宅では、同じコースを休まずに歩ける時間を週に1〜2回記録してください。
よく伺うお悩み
- 「それで、何回通えば良くなるんですか?」
- 「いつまで通えばいいのか、誰も教えてくれません。」
- 「通ってはいるけど、良くなっているのかよくわかりません。」
- 「このままだと、結局手術になるんじゃないでしょうか?」
狭窄症と診断されて治療を始める方から、最も多くいただく質問です。
当然の質問です。時間も費用もかかるのに、いつ終わるかわからない道を歩くのは、誰にとっても不安なものです。
正直にお答えすると、何回で良くなると、数字でお約束することはできません。 その代わり、それよりも役に立つことをお約束できます。いつ、何を見て、続けるかどうかを判断するのかです。
なぜ、数字でお約束できないのですか?
診察室でいつもお伝えしている言葉があります。
「短い間にできたものは、短い間に良くなることがあります。でも、とても長い時間をかけて積み重なってできたものは、良くなるのにも時間がかかります。」
狭窄症は、たいてい後者です。腰を一日に何千回も曲げたり伸ばしたりすることが何十年も積み重なるうちに、骨が少しずつ増殖し、靭帯が厚くなって、神経の通り道が狭くなった病気です。
さらに、どれくらい狭くなっているか、何か所が狭くなっているか、症状がどれくらい続いているか、脚の筋力はどうかが、人によって違います。同じ狭窄症でも、かかる時間が違う理由です。これを無視して数字から先にお伝えするのは、誠実なことではありません。
では、途方に暮れたまま待つしかないのですか?
そうではありません。まず知っておいていただきたい研究が二つあります。
一つ目、狭窄症は一方向にだけ進むわけではありません。 手術をせずに過ごした狭窄症の患者を平均11年以上追跡した研究では、良くなった人、変わらなかった人、悪くなった人がほぼ同じ割合でした。診断されたら悪くなる一方の病気ではない、という意味であると同時に、悪くなる人も確かにいる、という意味です。見守りつつ、測りながら見守るべき病気です。
二つ目、継続して管理すれば、歩ける時間が延びた状態を保てる可能性があります。 韓方病院4か所で統合治療を受けた狭窄症患者378人を約3年後まで追跡した研究では、最初は平均19分だった痛みなく歩ける時間が、3年後も約29分延びた状態でした。半数以上が手術をすすめられていた方で、3年間で実際に手術を受けた方は10人に1人ほどでした。
ただし、この研究は治療を受けなかった人と比べた研究ではないため、良くなった分のうち、どれだけが治療のおかげなのかは見分けられません。二つの研究の詳しい数字と限界は、院長コラム狭窄症、手術以外に方法はないのでしょうかにまとめてあります。
期間の代わりに、何を見るのですか?
何回通ったかより大切なのは、今どちらの方向に進んでいるかです。そこで、初めて来院された日に三つのことを一緒に決めます。
一つ目、基準値。 休まずに何分歩けるか、脚のしびれがどこまで下りてくるか、腰と脚の痛みが10点中何点かを、最初に記録しておきます。これがないと、後で良くなったのか悪くなったのかを、感覚でしか判断できません。
二つ目、最初の確認日。 いつ同じ方法で測り直すかを、最初から決めておきます。その日が来たら、基準値と並べて見ます。
三つ目、分かれ道の基準。 確認日の軌道は、三つのうちのどれかになります。
- 歩ける時間が延びていれば、今の治療を続けます。ゆっくりでも、方向が合っていれば進みます。
- 変わらなければ、同じ治療は繰り返しません。診断を見直し、方法を変えます。
- 悪くなっている、あるいは脚の力が抜けていく症状が進んでいる場合は、手術の評価ができる医療機関での相談をご案内します。このときは迷いません。
このように決めておくと、「いつ終わるのか」という途方に暮れる問いが、「次の確認日に何が変わっていればよいのか」という具体的な問いに変わります。当てもなく通わせることはしない、という当院のお約束は、こういう意味です。
自宅では、何をすればよいですか?
歩ける時間を測ってください。
同じコースを同じ速さで歩きながら、脚が重くなって休まなければならなくなるまで何分かかったかを、週に1〜2回記録します。近所の公園を一周でも、マンションの敷地の周りでもかまいません。この記録が積み重なると、診察室で測るよりもずっと細かく軌道が見えてきます。
しびれる前に休んで、また歩くコツはしびれるまで歩かないでくださいにあります。合わせて使っていただければ、歩くこと自体が治療になります。
排尿・排便の様子が変わった、サドルが当たる部分(お尻や股の内側)の感覚が鈍くなった、足首・足の指の力がだんだん抜けていくという場合は、軌道を見るまでもなく、すぐに手術の評価が先です。当院にいらしても同じことをお伝えし、すぐにご案内します。
当院の進め方
一つ目、測ります。 狭窄症で間違いないか、椎間板ヘルニアや脚の血管の問題ではないかを診察で見極め、必要に応じて同じビル2階の画像診断科と連携してMRIを確認します。歩ける時間・しびれの範囲・痛みのスコアの基準値と、最初の確認日、分かれ道の基準を一緒に決めます。
二つ目、治療します。 鍼・薬鍼で脚の痛みと炎症を調整し、推拿(チュナ)治療でこわばった腰と骨盤の動きを整えます。血液検査・体組成検査をもとに韓方薬を合わせて使い、ご自身の腰に合った方向の運動と、休みながら歩く方法を決めてお伝えします。運動の方向については狭窄症なら、腰を後ろに反らすストレッチから見直してくださいに書きました。
三つ目、決めた日に測り直します。 基準値と並べて軌道を確認し、続けるか・変えるか・手術の相談を受けるかを一緒に決めます。根拠のない治療はいたしません。
こう変わります
「いつ終わるんですか?」と聞く代わりに、先月より何分長く歩けたかを確かめて笑顔になる日。次の確認日がカレンダーに書き込まれている治療。
当院がお届けしたいのは、それです。
良くなるペースと程度は、狭くなっている程度や箇所の数、症状の期間、筋力によって人それぞれ異なります。
今日のまとめ
狭窄症の治療は、何回通ったかよりも、どちらの方向に進んでいるかで判断します。 基準値を記録し、確認日を決め、その日に延びているかを見ます。
今日やってみていただきたいことはひとつです。いつも歩くコースをひとつ決めて、休まなければならなくなるまで何分かかるかを一度測ってみてください。その数字が、あなたの狭窄症の最初の基準値です。持って来ていただければ、どこからどこまで目指すかを一緒に決めます。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。
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