赤ちゃんは眠っているのに、ママは眠れない夜
目次
赤ちゃんが始めた不眠ですが、今それを続けさせているのは赤ちゃんではありません
30秒でわかるポイント
- 赤ちゃんが朝までぐっすり眠るようになったのに、ママの眠りが戻ってこないことがあります。神経質な性格の問題ではありません。
- 何か月も「いつ起こされてもすぐ起きられるように」保たれてきた待機モードが、毎晩ベッドと結びつくことで、脳が「ベッドは待機する場所」と学習してしまったのです。
- そのため、原因が過ぎ去っても、学習された反応だけが残ります。学習したものは、もう一度学習することでほどくことができます。
- カギは一つの区別です。今夜目が覚めたのは、赤ちゃんに起こされた覚醒なのか、自分の体が自ら生み出した覚醒なのか。赤ちゃんが泣いて起きたのは、トレーニングの対象ではありません。それは育児です。
- 授乳中の薬は、どちらの方向にもご自身だけで決めることではありません。 飲むことも、飲んでいた薬をやめることも、処方する医師に授乳中であることを伝えたうえで相談して決めてください。
よく伺うお悩み
- 「赤ちゃんはもう朝まで眠るのに、私だけ2時間おきに目が覚めるんです。」
- 「体はくたくたなのに、横になると目がさえてしまって。」
- 「もうすぐ起きるだろうと思って、先に起きて待ってしまいます。」
- 「赤ちゃんのせいだと言われたのに、どうして私だけまだこうなんでしょう。」
赤ちゃんをやっと寝かしつけて、ようやく横になります。ところが眠れません。片方の耳は、赤ちゃんの部屋のほうへ開いたままです。
ここまでは、新生児を育てる家庭のごく普通の夜です。問題はその先です。
赤ちゃんが朝まで眠るようになったのに、ママの眠りが戻ってこないこと。
なぜ赤ちゃんが眠っているのに眠れないのか
出産と新生児のお世話は、眠りが強制的に細切れにされる時期です。この時期の不眠は、自然な短期の反応です。
ところが、何か月も続いた待機モードが問題を残します。浅くうとうとしながら、片耳を開けておく状態のことです。
この覚醒が毎晩ベッドと結びつくことで、脳が「ベッド=待機する場所」と学習してしまいます。そのため、原因が過ぎ去っても、学習された反応だけが残るのです。
赤ちゃんが始めた不眠ですが、今それを続けさせているのは赤ちゃんではありません。
そしてこれは、神経質な性格の問題ではなく、何か月もの夜が体に刻んだ学習の問題です。学習したものは、もう一度学習することでほどくことができます。
薬と授乳のはざまで
多くのお母さんが閉じ込められているジレンマがあります。
薬を飲まなければ眠りが崩れて育児も日常も立ち行かなくなり、飲んで眠れば授乳している赤ちゃんに申し訳なくて罪悪感に苦しむ、というものです。
この分かれ道で、まずはっきりさせておくことがあります。授乳中の薬の服用は、どちらの方向にもご自身だけで決めることではありません。 自己判断で飲むことも、飲んでいた薬を自己判断でやめることもです。必ず処方する医師に授乳中であることを伝えて、相談して決めてください。
そして、良い知らせがあります。不眠症の第一選択の治療は、そもそも薬ではありません。 ベッドと眠りのつながりを作り直すトレーニング――当院が「ベッド再トレーニング」と呼んでいるもの――が国際的なガイドラインの第一推奨であり、この方法は授乳とぶつかりません。
育児期のベッド再トレーニングは、この区別から始まります
今夜目が覚めたのは、赤ちゃんに起こされた覚醒なのか、自分の体が自ら生み出した覚醒なのか。
赤ちゃんが泣いて起きたのは、トレーニングの対象ではありません。それは育児です。
トレーニングの対象は、赤ちゃんが静かなのに目が覚めて時計を見ている時間、寝かしつけて横になったのに目がさえている時間です。
その時間には、前回の記事でお伝えしたルールを使います。
- ベッドで15〜20分以上目がさえていたら、ベッドから出てください。 ベビーモニターは持ってリビングへ行けば大丈夫です。眠気が来たら戻ってください
- 夜がどんなに崩れても、朝起きる時刻はできるだけ一定に
- 「もうすぐ起きるだろう」という予測で、先に起きて待たない
赤ちゃんを守ることは耳に任せて、体は眠らせておく練習です。
赤ちゃんの眠りについても一つだけ
専門書では、生後8か月頃になると60〜70%の赤ちゃんが夜中に目覚めたときに自分で再び眠る力を身につけ、夜中に目覚めるたびにいつも大人がすぐに介入すると、その力の発達が遅れることがある、と紹介されています。
赤ちゃんの泣き声に少し間を置いて待ってみることは、ママの眠りのためだけではない、ということです。
ただし、これは赤ちゃんの月齢や健康状態によって違う話です。わが子に合ったやり方は、小児科の診療で一緒に決めるのが順番です。
眠りより先に確かめるべきこと
出産後の不眠は、気分の落ち込みとよく一緒にやってきます。
眠れないこととは別に、2週間以上気分が沈んでいる、理由もなく涙が出る、赤ちゃんに気持ちが向かない感じがするという場合は、それは眠りの問題ではなく、産後の心の問題かもしれません。
産婦人科や精神科(メンタルヘルス)の診療で先に扱うべきことです。その場合、眠りはその治療と一緒に良くなっていくことが多くあります。
当院の診療はこのように一緒に進みます
まず、眠りの地図を描きます。 1〜2週間、睡眠日誌をつけていただき、目が覚めた時刻ごとに「赤ちゃんに起こされた」のか「自分で目が覚めた」のかを書き込みます。この区別が、治療の対象を正確に示してくれます。 あわせて血液検査・体成分検査と腹診・脈診で、産後の回復状態を確認します。
次に、覚醒を鎮めながら再トレーニングします。 鍼・薬鍼で、育児でたまった緊張と痛みを扱います。抱っこの姿勢で崩れた手首と肩、腰までです。ベッド再トレーニングは、育児のスケジュールに合った幅で組み立てます。
韓方薬が役立つ状態であれば、授乳中かどうかをまず伺い、それに合わせて処方するかどうかと内容を判断します。授乳中だとわかっていて、無理におすすめすることはしません。
そして、自分で目が覚めた回数で確かめます。 赤ちゃんに起こされる夜は仕方がなくても、自分で目が覚めた回数と、再び眠るまでの時間が減っているなら、治療が働いているということです。当院が眠りをどんな順番で見ているかは、診療案内にまとめてあります。
今夜やることを一つ
赤ちゃんより先に目が覚めて時計を見る明け方ではなく、赤ちゃんの声でようやく目が覚める朝。赤ちゃんが眠れば、私も眠れるという当たり前の一文が、もう一度事実になること。当院が目標にしているのは、それです。
回復の速さは、不眠が続いてきた期間や、授乳・育児の状況によって人それぞれです。ただ、始めることは今夜からできます。
今夜目が覚めたら、一つだけ書き留めてみてください。赤ちゃんに起こされたのか、自分で目が覚めたのか。
1週間分のその記録を持っていらしていただければ、ママの分の夜を取り戻す計画を一緒に立てましょう。
週末に赤ちゃんを預けて来院される方が多くいらっしゃいます。当院が年中無休で診療している理由の一つです。
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夜中に目が覚める眠りについての根拠は、院長コラム 夜中に目が覚めるのも不眠症です にまとめてあります。
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