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2026年10月15日

大きく飛び出した椎間板ヘルニアのほうが、かえって吸収されやすいのですか?

キム・ジフン
医療監修 キム・ジフン 代表院長

MRI画面の白いかたまりを見ていらした方へ

30秒でわかるポイント

  1. 飛び出した椎間板は、体が自分で片づけることが多いです。そして、大きく飛び出したほうがよく片づけられます。 かけらがちぎれて離れた場合は、96%で小さくなっていました。
  2. 理由は場所です。殻の中にあると体は手を出せず、外に出ると免疫細胞が異物として見つけて片づけます。
  3. 腰がまったく痛くない人でも、MRIを撮ると椎間板の飛び出しがよく見つかります。手術するかどうかを分けるのは、かたまりの大きさよりも今、脚に現れている症状です。
  4. 片づけられるまでには時間がかかり、その時間は無限ではありません。期間を決めて待ち、決めた時点で良くなっているかを確かめます。
  5. 排尿・排便が難しい、サドルが当たる部分の感覚が鈍くなった、足の力がだんだん抜けてくるという場合は、待たないでください。 すぐに手術の評価が必要です。

よく伺うお悩み

  • 「椎間板が飛び出していると言われました。これを押し戻さないと治らないんですよね?」
  • 「かなり飛び出していると言われたのですが、手術しかないんでしょうか?」
  • 「MRIの画像が頭から離れなくて、腰を動かせません。」
  • 「待てばいいと言われましたが、いつまでですか?」

結果を聞きに行った日を思い出してみてください。背骨のあいだから、白いかたまりが後ろ側にぷっくり出ていて、「ヘルニアが飛び出していますね」と言われます。

そのときから、頭の中には一つの絵だけが残ります。あれを押し戻さないといけない、押し戻すなら手術だろう、と。

今日は、その絵を少し変えてみたいと思います。

画面のことは、いったん置いてください

診察室でよくお伝えする言葉があります。「画像を撮ってみたら、私もそうですし、誰でも椎間板の飛び出しの一つくらいは見つかります。」

腰がまったく痛くない人でも、MRIを撮ると椎間板が膨らんだり飛び出したりしている様子がよく見られます。だから、画面の中のかたまりが大きいからといって、すぐに手術というわけではありません。判断の基準は、今、自分の脚と体に現れている症状です。

この順番が逆になると、しなくてもいい心配が生まれ、しなくてもいい決断を急ぐことになります。

たくさん飛び出すほど、よく小さくなるのですか?

はい。直感と逆なので、初めて聞くと皆さん驚かれます。

手術をせずに治療を受けた椎間板ヘルニアの患者のMRIを、時間をおいて撮り直した研究31本・2,233人を集めた分析があります。自然に小さくなった割合を状態別に見ると、次のとおりです。

椎間板の状態 自然に小さくなった割合
外側の輪ごと少し膨らんだ程度 13%
中身が突き出した程度 41%
外側の輪を破って飛び出した程度 70%
飛び出したかけらがちぎれて離れた場合 96%

完全に消えた割合も、ちぎれて離れたかけらで43%、飛び出した場合で15%と、重いほうが高いものでした。吸収という点だけで見れば、「大きく飛び出した」はむしろ悪くない知らせだったわけです。

研究の出典と手術を比べた試験は、椎間板ヘルニアの手術編にまとめてあります。

引き出しの中の物と、門の外のごみ

なぜでしょうか。ごみの回収を思い浮かべるとわかりやすいです。

椎間板の中身は、丈夫な外側の輪の内側、血管が届かない場所にあります。家の中の引き出しにしまってある物と同じで、回収車が来ても持っていくことができません。

ところが、外側の輪を破って外に飛び出すと、事情が変わります。かけらが血管の通る場所に出てくるからです。門の外に出したようなものです。すると、体の掃除役である免疫細胞が、本来の場所を外れた物として見つけ、少しずつ分解して片づけます。

たくさん出ているほど、門の外に出した量が多いということで、その分よく回収されるのです。

それでも知っておいていただきたい三つのこと

一つ目に、時間がかかります。 診察室では「飛び出したヘルニアは、たいてい落ち着いてきます。時間がかかるだけで」とお伝えしています。どれくらいかかるかは人によって違います。実際につらいのは、その期間の痛みです。

二つ目に、小さくなるスピードと、痛みが和らぐスピードは違うことがあります。 画像は良くなったのにまだ痛いこともあれば、画像はそのままなのに先に楽になることもあります。そのため当院では、画像よりも、症状と機能を書きとめた記録を基準に見ます。

三つ目に、待つことにも終わりが必要です。 脚の痛みが何か月もそのままか悪くなっているなら、手術の相談を先延ばしにするほうがかえって不利になりうる、という研究があります。だから待つときは期間を決め、その時点で良くなっているかを確かめます。

このサインがあれば、待ちません

  • 尿や便が出にくい、または我慢しにくくなった
  • 自転車のサドルが当たる部分(お尻・股・太ももの内側)の感覚が鈍くなった
  • 足首や足の指の力が抜けるのが、だんだんひどくなっている

神経が強く圧迫されている状態のことがあるので、吸収を待つ状況ではありません。当院にいらしても同じことをお伝えし、手術の評価を受けられる医療機関にすぐご案内します。

待つあいだ、当院が担う部分

一つ目に、まず確認します。 上のサインと、脚の力・感覚を診察で見ます。必要であれば、同じビル2階の画像診断科と連携して、MRIで椎間板の位置と形を確認します。脊柱管狭窄症のように似た症状を出すほかの問題も、ここで見極めます。

二つ目に、その時間を耐えられるものにします。 鍼(はり)・薬鍼(やくしん)で脚の痛みと腰まわりの緊張を和らげ、神経の状態を確認した範囲で、推拿(チュナ)治療で固まった動きを扱います。椎間板ヘルニアで長く脚が痛かった216人を、本物の鍼と偽の鍼に分けた最近の試験では、本物の鍼のほうが脚の痛みをより減らし、その差は1年後まで残っていました。ただし、一つの国で慢性の患者だけを対象にしたという限界もあわせてお伝えします。横になってばかりにならないよう、痛みが許す範囲で歩き、日常生活を続けていく計画も一緒に立てます。

三つ目に、記録で確かめます。 脚の痛みの点数、しびれが下りてくる場所、休まずに歩ける時間、脚の力を治療前に書きとめておき、決めた時点ごとに比べます。良くなる方向でなければ同じ治療を繰り返さず、手術の相談を含めた次の道をご案内します。

こう変わります

MRIの画面が浮かぶたびに胸がひやりとしていた日の代わりに、昨日より何分か長く歩けた記録を確かめる日。

体が椎間板を片づけているあいだ、その時間を日常として過ごしていくこと。当院が目指しているのは、それです。

吸収のスピードや回復の経過は、椎間板の形と位置、痛みが続いている期間によって人それぞれです。

今日のまとめ

飛び出した椎間板は、押し戻すべきものではなく、体が片づけているあいだ上手に待つべき場合が多いのです。 大きく飛び出したという言葉が、すぐに手術を意味するわけではありません。ただし、上の三つのサインがあれば待たないでください。

今日やってみていただきたいことは二つです。MRIを撮ったなら、読影レポート(結果の説明書)を手元に置いておいてください。そして、三行だけ書いてみてください。

  • 脚の痛みが10点中何点か
  • しびれがどこまで下りてくるか
  • 休まずに何分歩けるか

読影レポートとこの三行があれば、画面よりも症状をもとに一緒に判断できます。手術をすすめられたなら、狭窄症の手術についての質問編の質問もそのまま使えます。

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参考文献

  1. Chiu CC ほか. The probability of spontaneous regression of lumbar herniated disc: a systematic review. Clinical Rehabilitation. 2015;29(2):184-195.
  2. Bailey CS ほか. Surgery versus conservative care for persistent sciatica lasting 4 to 12 months. New England Journal of Medicine. 2020;382(12):1093-1102.
  3. Tu JF ほか. Acupuncture vs sham acupuncture for chronic sciatica from herniated disk: a randomized clinical trial. JAMA Internal Medicine. 2024;184(12):1417-1424.

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キム・ジフン

キム・ジフン 代表院長

検査では異常がないと言われたのに、不調が続いている方を診ています。お腹を押して診る腹診、舌を見る舌診、脈をとる脈診で体の状態を確かめ、確認したことを数字で記録して、次の診療のときに比べます。 痛みについては、痛む場所だけを見ることはしません。足の着地のしかたや顎のバランス、歩き方から原因を探します。治療の方針をご説明するときは、どの学術誌のどの研究なのかもあわせてお伝えします。ご自身で確かめられてこそ根拠だと考えています。

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