年をとると眠れなくなるのは、普通のことですか
目次
その言葉は半分だけ正しいのです。そして、残りの半分が大切です
30秒でわかるポイント
- 正しい半分 — 睡眠は、年齢とともに本当に変わります。深い眠りが減り、夜中に目が覚める回数が増え、体内時計が前にずれて、夕方早くに眠くなり明け方に目が覚めます。
- そのため、期待を調整すると眠りが楽になります。 若いころの8時間を基準にすると、毎晩が失敗になってしまいます。少し短く浅くなった眠りは、故障ではなく変化です。
- 間違った半分 — 「年のせい」が万能の覆いになってしまいます。夜の痛み、横になると上がってくる逆流、睡眠時無呼吸、薬を飲む時間、高齢期のうつ。見つければ改善できる原因です。
- 退職後にもっともよくある落とし穴は、睡眠が一日全体に薄く引き伸ばされることです。早く床について遅く起き、昼寝まで足すと、夜の眠りはさらに細切れになります。
- 処方は意外にシンプルです。昼を濃くすれば、夜も濃くなります。
よく伺うお悩み
- 「年をとればみんなこうだよ。眠れなくなるんだ。」
- 「明け方4時になると目が覚めて、居間に出て座っています。」
- 「昼間ソファでうとうとして、夜8時になるとまた目が閉じてしまいます。」
- 「薬を飲んだほうがいいのかと思うけれど、それも心配で。」
今日は、その「年をとればみんなこうだ」という言葉を、はかりにかけてみましょう。
正しい半分 — 睡眠は年齢とともに変わります
専門書はこう説明しています。若いころに100メートルを速く走れた人も、年をとるとスピードが落ちるように、深く長く眠る能力も年齢とともに落ちていきます。
横になっていた時間のうち実際に眠っていた割合は、10年ごとに3%ずつ減るとされています。深い眠りの割合が減り、夜中に目が覚める回数が増え、眠りが浅くなって物音で目覚めやすくなります。体内時計も前にずれて、夕方早くに眠くなり、明け方早くに目が覚めます。
特別な病気がなくても、そうなります。高齢の方の半数以上が睡眠の問題を口にされるのはそのためです。
これがなぜ大切なのか
期待を調整すると、眠りが楽になるからです。
若いころの8時間ぐっすりを基準にすると、毎晩が失敗になってしまいます。「どうしてこれだけしか眠れないのか」という心配が寝床を緊張の場所にしてしまい、その緊張がわずかな眠りまで壊してしまいます。
60歳の眠りが30歳の眠りと違うのは、普通のことです。 少し短く、少し浅くなった眠りそのものは、故障ではなく変化です。
間違った半分 — 「年のせい」が覆い隠してしまうもの
問題は、この言葉が万能の覆いになってしまうことです。年齢そのもの以外にも、改善できる原因がいくつも並んでいます。
体が起こしてしまう場合。 関節炎のような夜の痛み、横になると上がってくる逆流、そして60歳以上の3人に1人ほどにあるとされる睡眠時無呼吸。
薬が起こしてしまう場合。 尿を増やす薬は、飲む時間によっては、夜中にトイレで目が覚める原因になります。
心が起こしてしまう場合。 高齢期のうつは、明け方に目が覚めるという形で現れることが多いのです。
こうした原因は、年のせいにして我慢するものではなく、見つけて対処するものです。
そして、睡眠が一日全体に薄く引き伸ばされます
これが、退職後にもっともよくある落とし穴です。
出勤がなくなると、体内時計を合わせてくれていた規則正しい日課が消え、出かける場所がないので、ベッドにいる時間が長くなります。
睡眠が足りない気がして早く床について遅く起き、昼寝まで足すと、睡眠は増えるのではなく、一日全体に薄く引き伸ばされます。
昼寝で夜の眠りへの欲求を先に使ってしまうので、夜の眠りはさらに細切れになり、細切れの夜の眠りのせいで昼寝がさらに増える、という循環です。
研究で確かめられた処方は、シンプルです
介護施設の高齢者を対象にした研究が、専門書で紹介されています。
日中にベッドで横になっている時間を減らし、朝に30分以上日光を浴び、週に3回体を動かし、夜の寝室の光と騒音を減らしたところ、昼寝が減り、夜中に目が覚める回数が減りました。
薬ではなく、生活の四つのことで、です。
原理は一つです。昼を濃くすれば、夜も濃くなります。 朝の日光と活動が、体内時計に「今は起きている時間だ」という信号を強く送り、その対比で夜の眠りがまとまるのです。
家で始めるなら、この順番です
- 朝起きたらまずカーテンを開け、できれば外で日光を浴びながら体を動かす
- 昼寝は短くし、眠くなる時間帯に代わりにする用事を決めておく。散歩、集まり、家事、何でもかまいません
- ベッドは眠るときだけ使う
ベッドにいる時間を実際に眠っている時間まで減らすのは、効果が確かめられた方法です。ただし、その方法でもお伝えしたとおり、減らす幅はご自分だけで決めず、一緒に決めるほうが安全です。
これらのサインは「年のせい」で済ませてはいけません
- 寝ている間に叫んだり手足を振り回したりして、ご本人や隣の人がけがをしそうになったことがある — 夢の中の行動を実際にしているので、神経内科での確認が必要です
- 横になると息苦しくなり、起き上がって座らないと楽にならない — 心臓の確認が先です
- いびきがひどく、息が止まっているようだとご家族に言われる — 睡眠ポリグラフ検査ができる医療機関のご案内が先です
- 2週間以上気分が沈んでいて、好きだったことに興味がわかない — 明け方に目が覚めることより、心を先に診る必要があります
- 薬を飲み始めてから夜のトイレが増えた — 薬をやめるのではなく、飲む時間を処方を受けた医療機関と相談すべきことです
当院の診療は、原因を分けることから始まります
まず、その明け方がどの原因によるものかを探します。 正常な変化なのか、体なのか、薬なのか、心なのか、生活なのか。睡眠日誌と服用中の薬のリストを確認し、血液検査・体成分検査と腹診・脈診で体の状態を見ます。上のサインが見られれば、該当する診療のご案内が先です。
次に、昼と夜を設計し直し、体を支えます。 朝の日光と活動、昼寝、ベッドにいる時間を、一日の時間割として生活に合わせて一緒に決めます。鍼(はり)・薬鍼(やくしん)で眠りを妨げる痛みに取り組み、検査と腹診に合わせた韓方薬で、消化や巡りといった土台もあわせて診ます。服用中の薬はそのままにして始めます。 調整が必要そうであれば、処方を受けた医療機関と相談していただくようご案内します。
そして、日誌で確認します。 夜中に目が覚めた回数と昼寝の時間が減っているかを、記録で一緒に見ます。当院が睡眠をどんな順番で診ているかは、診療案内にまとめてあります。
この週末に聞いてみていただきたいこと
明け方に目が覚めたまま朝を待つ居間ではなく、短くても朝まで続く眠り。昼は眠気の代わりに用事のある一日。当院が目標にしているのは、そのリズムです。
回復の幅は、年齢とともに抱えている病気や生活環境によって人それぞれです。ただ、60歳の眠りには60歳の基準がある、と知ることが、回復の始まりです。
ご両親の明け方が心配でしたら、この週末にこう聞いてみてください。
「何時間眠っているの?」ではなく、「ベッドには何時間いるの?」
その二つの数字の差が大きければ、そこが当院と一緒に見ていくポイントです。
お子さんと一緒に週末にいらっしゃる高齢の方が多くいらっしゃいます。当院が年中無休で診療している理由の一つです。
ご相談・ご予約はページ右下のメッセンジャーから日本語でどうぞ。お電話は +82-53-716-1175 です。
夜中に目が覚める眠りについてのエビデンスは、院長コラム夜中に目が覚めるのも不眠症ですにまとめてあります。
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