夜に眠れず、朝に起きられないなら、まず朝日の浴び方を変えてみてください
目次
夜中の2時にやっと眠り、アラームを5つかけても起きられないなら
30秒でわかるポイント
- 遅く寝て遅く起きてしまうのは、意志よりも、体内時計が後ろにずれているからである可能性が高いのです。
- 体の時計は光で合わせられます。朝の光は時計を前へ早め、夜の光は後ろへ遅らせます。
- 室内の照明は300〜400、屋外の日陰は10,000ほどです。曇りの日に外に立っているほうが、窓辺より何倍も明るいのです。
- 処方は起きてすぐ、外で、目で。 起床時間を固定し、夜は照明を落とし、週末に寝だめをしません。
- 2週間以上気分が沈んでいる、寝ているあいだに息が止まると言われる、という場合は、その確認が先です。
よく伺うお悩み
- 「早く横になっても、2時間は目がさえてしまいます。」
- 「アラームを5つかけても起きられません。」
- 「午前中はぼんやりしているのに、夜になると頭が冴えてきます。」
- 「意志が弱いからだと言われるばかりです。」
夜12時に横になったのに、2時を過ぎてやっと眠りにつきます。
朝はアラームを5つかけても起きられず、やっと起きても午前中ずっと頭が回りません。そして夜になると不思議と頭が冴えてきて、また遅く寝てしまいます。まわりからは、意志が弱いからだ、もっと早く寝なさいと言われますが、早く横になっても目がさえるだけです。
これは意志の問題ではなく、体内時計が後ろにずれている問題である可能性が高いのです。 そして、その時計を前に戻すいちばん強力な道具は、朝日です。
体の時計は、何で合わせられるのですか?
光です。体内時計を研究する学者たちが明らかにした原理は単純です。体内時計は、目から入ってくる光を見て、いまが一日のうちのいつなのかを合わせています。
ところが、光の効果は時間帯によって方向が逆です。
- 早朝の光は、時計を前へ早めます。その夜はより早く眠くなり、翌日はより早く目が覚めます。
- 夕方や夜の光は、時計を後ろへ遅らせます。より遅く眠くなり、翌日はより遅く起きることになります。
- 日中の光は、時計の針にほとんど影響を与えません。
遅く寝て遅く起きる方の一日を見ると、こうなっています。朝はカーテンを閉めた部屋でやっと起きて室内の照明の下で支度をし、夜は遅くまで明るい場所にいます。複数の国の大学生を調べた研究でも、夜型の人ほど夜の光を多く浴び、朝の光はほとんど浴びておらず、時計が全体的に後ろにずれていました。遅らせる光ばかりを浴びて、早める光は浴びていない一日というわけです。
逆方向の研究もあります。電気の照明の中で暮らしていた人たちが、山の中で自然光だけを浴びながら1週間キャンプをしたところ、眠る時刻と起きる時刻が2時間早まりました。 薬を使わず、光を変えただけで、です。
朝、電気をつけて過ごしているのに、それでも足りないのですか?
明るさが違います。診察室ではいつも、日の光は室内の蛍光灯より何百倍も明るいとお伝えしています。光の明るさを測る単位(ルクス)で見ると、こうなります。
| 場所 | 明るさ |
|---|---|
| 家・オフィスの照明 | 300〜400 |
| 窓辺 | 3,000 |
| 屋外の日陰 | 10,000 |
| 真昼の日差し | 100,000 |
室内の照明は、本を読んだり色を見分けたりするには十分でも、体の時計に本当の朝が来たと知らせるには弱いことが多いのです。窓から入ってくる光も、ガラスを通るあいだに大きく減ります。
曇りの日に外に立っているほうが、晴れの日に窓辺に座っているより何倍も明るいのです。 体の時計を合わせる光は、ドアの外にあります。
では、どうすればよいですか?
第一に、起きたらできるだけ早く外に出てください。 不眠症治療の専門書では、起きてから15分以内に、45分ほど朝の光を浴びるよう勧めています。大げさなことは必要ありません。通勤途中にひと駅歩く、ベランダでコーヒーを飲む、子どもを園に送ったあと少し遠回りして帰る、で十分です。サングラスは外して、目で光を受けてください。太陽を直接見る必要はなく、曇りの日でも効果があります。
第二に、光より先に、起きる時間を決めてください。 朝の光は、起きなければ浴びられません。夜に何時に眠ったとしても起床時間を固定することは、ベッドの再トレーニングの最初のルールでもあります。最初の数日はつらいですが、朝の光が積み重なると時計が早まり、夜に眠くなる時間も少しずつ前に来ます。ベッドの再トレーニングについては、眠れないときはベッドから出てくださいにまとめています。
第三に、夜は光を減らしてください。 寝る1〜2時間前から室内の照明を落とし、天井の照明の代わりに低いスタンドをつけておいてください。
スマートフォンについて、ひとつ付け加えます。人の時計は思っているより光に鈍く、画面の光そのものの影響は一般に言われているより小さいかもしれない、というのが専門書の指摘です。より大きな問題は、画面が私たちを遅くまで起こしておくという点です。明るさより、何時に消すかがポイントです。
第四に、週末に寝だめをしないでください。 週末に2時間遅く起きると、月曜日の朝は2つの時間帯をまたいだ時差旅行のようになってしまいます。平日と週末の起床時間の差は、1時間以内に縮めてください。
冬のように日の出が遅い時期や、外に出るのが難しいときは、明るい光を出す光療法の機器を朝に使う方法もあります。目の病気がある方や特定の薬を飲んでいる方は、先に相談が必要なので、診療の中で一緒に決めましょう。
夜勤をしている方は、光の方向が逆になるため、方法も変わります。夜勤を何年も続けているのに、なぜまだ慣れないのでしょうかをご覧ください。
次のような場合は、別の確認が先です
- 遅く寝ることに加えて、2週間以上気分が沈み、好きだったことに興味がなくなったなら、心の面の診療をまずお勧めします。
- いびきがひどく、寝ているあいだに息が止まっているようだと言われるなら、睡眠時無呼吸の検査が先です。
- 思春期は、もともと時計が後ろにずれる時期です。お子さんの寝坊は、怠けているというより、発達の一部であることもあります。
当院の進め方
第一に、時計がどこにあるのかを見ます。 1〜2週間の睡眠日誌に、眠った時刻・起きた時刻とあわせて朝に外で光を浴びた時間を書いてきていただくと、時計が遅れているタイプなのか、ほかの原因が混ざっているのかが見えてきます。血液検査と腹診・脈診で、緊張や覚醒の体の状態も一緒に見ます。
第二に、時計を早めながら、体を助けます。 起床時間の固定、朝の光、夜の光を減らすことで、一日の光の時間表を一緒に組み立てます。鍼・薬鍼(やくしん)で夜まで続く緊張と覚醒を調整し、検査結果に合った韓方薬で体のリズムの回復を助けます。ベッドで目がさえている時間が長い場合は、ベッドの再トレーニングも一緒に行います。
第三に、眠りにつく時刻で確かめます。 何時間眠ったかより、眠くなる時間と眠りにつく時刻が前に早まってきているかを、日誌で一緒に見ます。根拠のない治療はいたしません。
こう変わります
アラームひとつで起きられる朝。夜11時ごろになると自然にあくびが出る夜。意志が弱いと言われる代わりに、時計を合わせたと言えること。
当院が目指すのは、それです。
時計が早まっていく速さは、遅れの程度や生活の条件、季節によって人それぞれ異なります。
今日のまとめ
遅く寝て遅く起きてしまうなら、まず朝日の浴び方を変えてみてください。 朝の光は時計を早め、夜の光は遅らせます。その光は家の中では足りず、ドアの外にあります。
明日の朝やっていただきたいことは、ひとつです。起きたらすぐに、顔を洗う前でもいいので外に出て、15分だけ立っているか歩いてみてください。そして1週間、眠った時刻、起きた時刻、朝に外で光を浴びた時間を1行ずつ書き留めてみてください。その記録が、あなたの時計がどこにあるのかを教えてくれる最初の地図です。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。
不眠症治療の根拠は、院長コラム夜中に目が覚めるのも不眠症ですにまとめています。
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