昼寝はしてもいいのでしょうか?夜に使う眠りを、前借りすることです
目次
昼食後の15分のうたた寝は大丈夫なのか、週末に2時間昼寝をした後はなぜ夜がつらいのか、気になっていた方へ
30秒でわかるポイント
- 起きている間、脳には眠りの圧力がたまり、夜はその圧力で深く眠ります。昼寝は、この圧力を前もって減らしてしまうことです。
- 不眠症があるなら、昼寝は基本的に減らす方向です。「昨夜眠れなかったから、せめて昼寝を」が、不眠を長引かせる最もよくある道です。
- 夜の眠りに問題はないのに睡眠が足りない日や、眠いまま運転しなければならないときは、短い昼寝が役立ちます。
- ルールは三つです。20分以内に、午後の早い時間に、ベッドではない場所で。
- 十分に眠っても日中に我慢できないほど眠く、いびきがひどい場合は、睡眠時無呼吸の検査が先です。
よく伺うお悩み
- 「お昼を食べると、まぶたが下りてきます。」
- 「昼寝をすると夜にもっと眠れなくなりそうで、我慢しています。」
- 「週末にソファで2時間寝ると、起きた後かえって頭が重いんです。」
- 「眠れなかった翌日は、昼寝でもしないともたない気がします。」
お昼を食べると、まぶたが下りてきます。
机に突っ伏して15分だけ寝れば午後が生き返りそうなのに、一方で心配にもなります。昼寝をすると、夜にもっと眠れなくなるのではないか。週末にはソファで2時間ぐっすり寝てしまうけれど、起きると頭がかえって重く、その夜は決まって寝返りばかり打ってしまう。昼寝は良薬なのでしょうか、それとも毒なのでしょうか。
答えは、誰が、いつ、何分眠るかによって違います。それを分ける仕組みをひとつ、まずお伝えします。
眠りは、どうやってやってくるのですか?
体内時計を研究する学者たちは、眠気がやってくる理由を二つの力で説明しています。
- 一日の時刻を知らせる体の中の時計
- 起きている間に脳に少しずつたまっていく眠りの圧力
朝起きると圧力はほぼゼロから始まり、起きている時間の分だけ夕方まで満ちていきます。夜に深く眠れるのは、この圧力が十分に高くなったからです。砂時計の上側に一日中砂がたまり、夜になって一気に流れ落ちるのと同じです。
昼寝は、この砂を前もって少し流してしまうことです。短く眠った後に頭がすっきりするのも、圧力が下がったからです。まさにその理由で、昼寝を長くとると、夜に流れ落ちる砂が足りなくなります。夜、横になっても眠れないのです。
昼寝が良薬か毒かは、結局のところ、夜に使う圧力をどれだけ前借りしたかにかかっています。
不眠症があるとき、昼寝はどうすればよいですか?
基本は、減らす方向です。
不眠症治療の専門書は、治療の基本ルールに昼寝の制限を入れています。夜に眠れない方が昼寝で圧力を抜くと、その夜はさらに眠れず、翌日はもっと眠くなってまた昼寝をする、という悪循環が生まれるからです。
専門書が、正すべき考え方として挙げている言葉があります。
「昨夜眠れなかったから、今日は昼寝をしないとちゃんと生活できない。」
この埋め合わせが夜の圧力をまた奪い、不眠を長引かせる最もよくある道です。眠れなかった翌日に眠いのは当然です。その圧力を昼に使わずに夜まで持ち越せば、その夜はいつもより早く、深く眠れる可能性が高くなります。不眠を断ち切る要は、ここにあります。
ちゃんと働くには午後に必ず昼寝が必要だと毎日感じているなら、専門書はそれを夜の眠りが足りていないか、体のリズムが乱れているサインと見ています。昼寝を増やすより、夜を見直すべきことです。
昼寝が役立つこともありますか?
確かにあります。
- 夜の眠りに問題はないのに、残業や赤ちゃんのお世話、交代勤務で睡眠が足りない日
- 午後に運転しなければならないのに、眠いとき
こうしたときの短い昼寝は、圧力をほどよく減らして事故を防ぎ、午後を救ってくれます。体内時計の専門書も、こうしたときの短い昼寝はすすめています。ただし、条件がつきます。
昼寝は、どのようにとればよいですか?
一つ目、20分以内に。 専門書がすすめる昼寝の長さは20分以内です。それより長いと深い眠りの段階に入り、目が覚めたときにかえってぼんやりして重く感じます。朝ぼんやりするのは、昨夜眠れなかった証拠ではありませんでお伝えした睡眠慣性です。長いほど、夜の圧力も多く奪います。アラームを20分に合わせ、椅子にもたれるか、ソファに座ったまま眠ってください。横にならないほうが、深く入り込みません。
痛みがひどくて夜の眠りが細切れになっている方には、専門書が例外として30〜45分まで認めることもあります。これは診療の中で一緒に決めることです。
二つ目、午後の早い時間に。 夕方に近い昼寝は、夜の圧力をそのまま奪います。よくすすめられる目安は午後3時前です。それ以降に眠くなったら、昼寝の代わりに体を動かしたり、外で光を浴びたりしてやり過ごしてください。
三つ目、ベッドでは寝ないでください。 ベッドは夜の眠りの場所です。昼間にベッドで横になって寝る習慣は、「ベッド=眠り」という結びつきをぼやけさせ、夜の眠りまで妨げます。昼寝はソファや椅子でとってください。
年をとるほど昼寝が増えるのは、なぜですか?
体内時計の専門書は、年をとると時計の力が弱まり、昼は眠く夜は目が覚めるという状態が現れると説明しています。そのため、ご高齢の方の長い昼寝は夜の眠りをさらに細切れにし、細切れになった夜の眠りがまた昼寝を呼びます。
ご高齢の方は、日中に眠くなったときに昼寝の代わりにすること(散歩、集まり、家事)を決めておき、それでも必要なら20分のルールを守ってください。年齢と眠りのお話は、年をとると眠りが減るのは普通のことですかに詳しく書いてあります。
こんな日中の眠気は、昼寝のルールで解決することではありません
- 夜に十分眠ったのに日中に我慢できないほど眠く、いびきがひどい、または呼吸が止まっているようだと言われる場合は、睡眠時無呼吸の検査が先です。
- 日中に突然倒れ込むように眠りに落ちることがあるなら、ほかの睡眠障害を確認する必要があります。
- 2週間以上気分が沈んでいて、昼寝が長くなっている場合は、心の面の診療も合わせておすすめします。
当院の進め方
一つ目、昼寝と夜の眠りを合わせて見ます。 1〜2週間の睡眠日誌に、夜の眠りと一緒に昼寝の回数と時間を書いてきていただくと、昼寝が夜の圧力をどれだけ奪っているのか、夜の問題が昼寝を呼んでいるのかが見えてきます。血液検査と腹診・脈診で、日中の疲れを生んでいる体の状態も合わせて診ます。
二つ目、圧力が夜にたまるようにします。 昼寝のルール(長さ・時間・場所)、起床時間の固定、朝の光、日中の活動で、一日の時間割を一緒に組み立てます。鍼・薬鍼と、検査に合わせた韓方薬で、日中の疲れと夜の覚醒を調整します。夜、ベッドで目がさえている時間が長い場合は、ベッドの再訓練も一緒に行います。
三つ目、日誌で確認します。 昼寝が減るにつれて、夜に寝つくまでの時間が短くなっているかを一緒に見ていきます。根拠のない治療はいたしません。
こう変わります
昼食後の眠気を20分で切り上げ、すっきり過ごせる午後。そのおかげで、夜により早く、より深く眠れる日。昼と夜が互いの眠りを奪い合わない一日。
当院が目指しているのは、それです。
昼寝が必要か、減らすべきかは、夜の眠りの状態や生活、年齢によって人それぞれ異なります。
今日のまとめ
昼寝は、夜に使う眠りを前借りすることです。 不眠症があるなら減らし、どうしても必要なら、午後の早い時間に20分以内で、ベッド以外の場所で眠ってください。
今日やってみていただきたいことはひとつです。1週間、昼寝を何回、何分、どこでとったかを書き出してみてください。ソファでちょっとうとうとしたことまで含めてです。その横に、その夜寝つくまでにかかった時間を並べて書くと、自分の昼寝が夜の眠りをどれだけ前借りしているのかが見えてきます。その記録を持って来ていただければ、あとは一緒に見ていきます。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。
不眠症治療の根拠は、院長コラム途中で目が覚めるのも不眠症ですにまとめてあります。
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