O脚矯正の運動で、本当に脚はまっすぐになるのでしょうか
目次
「数週間で脚がくっつく」という動画をまねしてみたなら
30秒でわかるポイント
- 成長を終えた大人の骨の角度を運動で変えたという確かな研究はありません。 「数週間で脚がくっつく」という言葉は、骨に関しては根拠を超えた約束です。
- ただし、曲がって見える度合いには、股関節のねじれ具合、お尻・太ももの筋肉の偏り、足の崩れ、立ち方・歩き方の習慣が混ざっていて、こちらは変わりえます。
- そのため、O脚の運動の目標は脚をくっつけることではなく、膝の内側に偏る負担を減らすことにあります。O脚のアライメントは、膝の内側の関節症のリスクを約1.5倍、進行のリスクを約3.6倍高めていました。
- やることは四つです — お尻の横の筋肉を鍛える、立ち上がるときの膝の向きを合わせる、両足に体重を分ける、脚を組む代わりに足の裏を床につける。
- 膝が腫れて熱を持つ、夜も痛む、急に動かなくなる、という場合は、運動より関節の確認が先です。
よく伺うお悩み
- 「YouTubeを見て1か月まねしたのに、鏡に映る脚は変わりません。」
- 「やり方が足りないからですか、それとももともと無理なんですか?」
- 「片足重心はやめるよう言われるのに、気づくとまた片足で立っています。」
- 「運動すると膝の間が少し狭くなるのですが、それはまっすぐになったということですか?」
「1日10分、この運動だけでO脚がまっすぐになります。」
動画の中の脚は、数週間でくっついています。だから、まねしてみたのでしょう。朝晩、膝をくっつける、脚を締める、バンドを巻いて踏ん張る。
1か月がたちました。鏡に映る脚は変わりません。やり方が足りないのか、そもそも無理なのか。
今日は、その質問に正直にお答えします。運動で変わらないものと変わりうるものを分けて。それを知ったうえで始めれば、1か月後にがっかりすることなく、3か月後に変化に気づくことができます。
運動で変わらないのは、大人の骨の角度です
成長を終えた大人の骨の角度を運動で変えたという確かな研究はありません。太ももの骨とすねの骨が出会う角度は骨の形で決まる部分が大きく、これを大きく変える確立した方法は、骨を切って角度を合わせる手術です。
ですから「数週間で脚がくっつく」という言葉は、少なくとも骨に関しては根拠を超えた約束です。1か月でまっすぐにならなかったのは、やり方が足りなかったからではありません。
では、運動は意味がないのですか?
そうではありません。鏡に映るO脚は、骨だけでできているわけではないからです。
股関節が内側にねじれている度合い、太ももとお尻の筋肉が片側に偏っている度合い、足が内側に崩れている度合い、立ち方・歩き方の習慣。同じ骨でも、これらによって脚がより曲がって見えたり、それほど曲がって見えなかったりします。こちらは変わりえます。
診察室で使うたとえでは、骨が鉄筋、筋肉がセメントです。鉄筋の曲がった角度は簡単には変えられません。けれども、セメントがどちらをしっかり支えるかによって、建物の立ち姿と耐える力は変わります。さらに、長い間片側ばかり使う習慣と筋肉が、骨をその方向に引っ張ってきました。運動が手を加えるのは、そのセメントと習慣です。
研究も一つあります。膝の痛みがあるO脚の中年女性47人を分けて比べた韓国の研究で、12週間、週3回の複合運動を行ったグループでは、脚のアライメントの指標の一部と膝の痛みが改善しました。
ただし、三つのことを一緒に知っておいてください。
- 47人規模の研究1本です。
- その変化が長続きするかどうかは、まだ確認されていません。
- 「膝の間が狭くなった」という見た目の変化と、「骨の角度が変わった」という変化は、別の話です。
目標を、鏡から膝へ移してください
O脚は、形の問題である前に負荷の問題です。脚が内側に曲がると、体重が膝の内側に集中します。
大規模な追跡研究で、O脚のアライメントは、膝の内側の関節症ができるリスクを約1.5倍、すでにある関節症が悪化するリスクを約3.6倍高めていました。
ですから、O脚の運動は、曲がった脚で膝にかかる負担を減らし、引っ張る力の向きを変える運動だと考えてください。10年後の膝のための運動です。
「しないでください」の代わりにやること四つ
「片足重心はやめましょう」は、なかなか守れません。気づくとまた片足で立っていますよね。禁止の代わりにやることをお伝えする理由は、膝と歩くことの記事に書いておきました。O脚では、こう置き換えます。
一つ目、お尻の横を鍛えてください。 横向きに寝て、上の脚をゆっくり上げて下ろします。膝が内側に崩れないように支えてくれる、お尻の横の筋肉が鍛えられます。O脚の運動でもっとも抜け落ちやすい部分です。
二つ目、立ち上がるときに膝がどこを向いているか確認してください。 椅子からゆっくり立ち上がって座るとき、膝が人差し指(第2趾)の方向を向くように合わせます。太ももの力をつけながら、膝が正しい道筋で動く感覚を身につける動作です。立ち上がるときに膝が何度も内側に寄ってしまうなら、回数より先に向きを整える必要があります。その理由はO脚の運動の記事にあります。
三つ目、長く立っているときは、両足に半分ずつ体重をかけてください。 つらければ、片方ずつ交互に替えてください。片足重心そのものより、一つの姿勢で長く固定されることが問題です。
四つ目、座るときは両方の足の裏を床につけてください。 これを基本の姿勢にして、脚を組みたいときは左右を交互に組んでください。
回数とスピードは、膝の状態と筋力によって合う量が違うので、診療のときに一緒に決めます。試してみて、次の診療でどうだったかを伺います。
運動より確認が先の膝
次のうち一つでも当てはまれば、運動を始める前に関節の状態を診る必要があります。
- 膝が腫れて、熱っぽさがある
- 夜、休んでいても痛む
- 膝が急にロックされたように動かなくなる感じがある
当院の進め方
一つ目、ご自分のO脚の何割が骨なのかを測ります。 X-body体型検査で全身のアライメントを見て、必要であれば同じビル2階の画像診断科と連携して、立った姿勢での脚の角度を測ります。骨の割合が大きければ、その限界から先にお伝えします。
二つ目、筋肉と習慣に取り組みます。 推拿(チュナ)治療で骨盤と股関節の動きを整え、上の四つを体に合わせて調整して処方します。膝が痛ければ、鍼(はり)・薬鍼(やくしん)で調整します。
矯正後の数日は、違和感やだるさが出ることがあります。体が長く慣れ親しんだ姿勢を正常として覚えているので、新しい位置になじめないのです。たいていは治まりますが、ひどく痛む場合はすぐにお知らせください。
三つ目、最初と同じ方法で測り直します。 決めておいた時期に同じ指標を測り直し、変化の量を見ます。鏡に映る印象より、数字を信じます。脚の角度はお約束しません。
こう変わります
動画を見ながら「今度こそくっつくかな」と期待しては落胆していた1か月の代わりに、立ち上がるたびに膝が人差し指の方向を向いているかを自分で確かめる3か月。
その間に、階段を下りるときに膝の内側が以前ほど気にならなくなり、立っているとき、ふと両足に均等に体重がかかっていることに気づくようになります。当院が目標にしているのは、そこです。
変わる範囲とスピードは、骨と筋肉・習慣の割合、年齢、体重によって人それぞれです。
今日のまとめ
O脚の運動は、膝を守るための運動です。 骨の角度は運動では変わりませんが、筋肉と習慣は変わります。
今日やってみていただきたいことは二つです。
- 裸足で立ち、くるぶしをくっつけて、正面から写真を1枚撮っておいてください。
- 一日の間に、片足重心はどちらの足が多いか、脚はどちら側に組むことが多いかを、1行メモしてみてください。
その写真とメモを持っていらしていただければ、ご自分のO脚の何割が習慣によるものかを一緒に見積もってみましょう。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。
O脚と膝の関節症の関係、運動の研究の原文はO脚のエビデンスの記事に、当院が体型を測って取り組む順番は診療案内にまとめてあります。
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