膝の内側がうずくのは、O脚のせいでしょうか
目次
外側は何ともないのに、決まって内側だけがうずくなら
30秒でわかるポイント
- 脚が外側に曲がっていると、歩くたびに体重が膝の内側に偏ってかかります。外側は平気なのに内側だけが痛む理由は、ここにあるかもしれません。
- 数千の膝を長く追った研究では、O脚の並びは、膝の内側の関節症が起きるリスクを約1.5倍、悪化するリスクを約3.6倍高めていました。
- 内側が受ける負担は、「どれくらい曲がっているか × どれくらい重いか」に近いものです。曲がった角度は簡単には変えられなくても、体重は変えられます。
- ただし膝の内側の痛みには、関節がすり減った場合、関節の下の腱のつけ根、半月板の損傷など、いくつかのタイプがあるため、痛む高さとタイミングをまず見極めます。
- 膝が腫れて熱を持つ、夜も痛む、引っかかる・ガクッと折れる、けがのあとに始まったという場合は、関節の確認が先です。
よく伺うお悩み
- 「脚が曲がっているのは昔からなんですが、最近になって膝の内側がうずくんです。」
- 「外側は何ともないのに、どうして内側だけが痛むんでしょう?」
- 「朝起きて最初の数歩が、いちばんこわばります。」
- 「ここ数年で少し太ったんですが、それも関係ありますか?」
昔から脚が少し曲がっているほうでした。見た目の問題だとばかり思っていました。ズボンのシルエットがきれいに出ないこと以外は、不便もありませんでしたから。
ところが、いつの間にか膝の内側がうずくようになりました。長く歩いたあと、階段を下りるとき、朝に最初の数歩を踏み出すとき。外側は何ともないのに、決まって内側だけがそうなります。
もしかして、曲がった脚と関係があるのでしょうか? 関係がある可能性は高いです。そして、それがわかれば、何をすべきかも見えてきます。
なぜ、よりによって内側なのでしょうか?
脚がまっすぐなら、歩くたびに体重は膝の真ん中を通り、内側と外側に比較的均等に分かれます。
脚が外側に曲がっていると、事情が変わります。重さの通り道が、膝の内側に偏るのです。膝全体で分け合うべき重さを、内側が多く引き受けることになります。シーソーの片側にだけ、ずっと人が座っているようなものです。
この偏りが、一日に数千歩、それが何十年も積み重なります。大規模な追跡研究では、O脚の並びは、膝の内側の関節症が新たに起きるリスクを約1.5倍、すでにある関節症が悪化するリスクを約3.6倍高めていました。重さが集中する側から先に傷むことを、数字で確かめた結果です。
ここに掛け合わされるもの、体重
膝の内側が受ける負担は、「どれくらい曲がっているか」と「どれくらい重いか」を掛け合わせた値に近いものです。同じ角度で曲がった脚でも、体重が増えれば内側の負担も一緒に大きくなります。
脚の形は何年もそのままなのに、ここ数年で体重が増えるにつれて膝の内側が痛み始めましたか? そうであれば、二つの時期が重なったのは偶然ではないかもしれません。
うれしい点もあります。曲がった角度は簡単には変えられなくても、この掛け算のもう一方は変えられます。体重を減らしたときに膝にどんな変化があるかは、減量編に別に書いてあります。
同じ「膝の内側」でも、理由はいろいろです
膝の内側の痛みが、すべてO脚のせいというわけではありません。代表的なタイプが三つあります。
関節がすり減って痛む場合。 膝を曲げたときにできる関節のすき間の高さが痛みます。長く歩いたときや階段を下りるとき、朝の最初の一歩でこわばって痛むことが多いです。O脚ともっとも直接つながるタイプです。
関節より少し下、腱がつく場所が痛む場合。 関節のすき間から指2〜3本分ほど下の内側を押すと痛みます。階段を上るときや椅子から立ち上がるときにうずきます。関節まわりの腱の問題のことがあり、扱う方向が変わります。
膝の中の半月板を傷めた場合。 膝が引っかかる・動かなくなる感じ、ひねったときのビリッとした痛み、腫れがあれば、こちらを確認する必要があります。
この区別はあくまで目安で、診断ではありません。
O脚の話より、確認が先になる膝
次のうち一つでも当てはまれば、関節の状態から診ます。
- 膝が腫れて熱っぽい
- 夜、休んでいても痛む
- 膝が急に動かなくなったり、力が抜けてガクッと折れたりする
- けがのあとから痛み始めた
このときは、同じビル2階の画像診断科と連携して、まず関節を確認します。
曲がった角度はそのままでも、内側の痛みを減らすことはできます
一つ目に、掛け算の一方を減らします。 体重が増えた時期と痛みが始まった時期が重なっているなら、体重管理は膝のための直接的な治療です。食事を抜くやり方は長続きせず、筋肉まで落ちてしまいます。膝が耐えられるペースで減らします。
二つ目に、膝を支える筋肉を鍛えます。 太ももの前の筋肉は、歩くたびに膝に来る衝撃を代わりに受け止めてくれます。お尻の横の筋肉は、膝が内側に崩れないよう踏ん張ります。O脚矯正の運動編で紹介した、横向きに寝て脚を上げる運動、椅子からゆっくり立ち上がって座る運動が、まさにこの筋肉を鍛える動作です。
三つ目に、歩くことはやめずに、やり方を変えます。 痛いからとあまり歩かなくなると、太ももが先に弱くなり、同じ一歩でも膝がより痛くなります。分けて歩くこと、階段の上り下りの仕方、痛む日に何をするかは、膝と歩くこと編にまとめてあります。
当院は、こう診ます
一つ目に、痛む場所と理由から見極めます。 正確にどこが、いつ痛むのかを伺って診察します。上の三つのタイプのどれに近いかを見て、必要であれば2階との連携で関節を確認します。
二つ目に、掛け算の二つの値を測ります。 曲がり具合はX-body体型検査で、重さは体成分検査(InBody検査)で見ます。この膝がなぜ内側に負担を受けているのかを、数字で確かめる段階です。
三つ目に、負担を分散させる治療をします。 鍼(はり)・薬鍼(やくしん)で痛みをコントロールし、推拿(チュナ)治療で骨盤と股関節の動きを整えます。筋肉の運動は方法と回数まで決めてお伝えし、体重が関わっているなら目標も一緒に決めます。次の診察で、痛みがどれくらい減ったか、どれくらい長く歩けるようになったかを最初と比べます。脚の角度についてはお約束しません。
こう変わります
散歩に出る前に「今日はどれくらい歩けるだろう」と計算しなくていい朝。曲がった脚はそのままでも、膝の内側が静かな一日。
当院が目指しているのは、曲がった脚のままでも楽に歩ける膝です。
良くなる程度とスピードは、関節の状態、脚の並び、体重、筋力によって人それぞれです。
今日のまとめ
膝の内側の痛みは、曲がり具合と体重が一緒につくり出した負担かもしれません。 角度はそのままでも、体重と筋肉でその負担を軽くすることができます。
今日は三つだけ確認してみてください。
- 痛む場所を指一本で押さえてみてください。膝を曲げたときにできる関節のすき間の高さですか、それより少し下ですか?
- いつがいちばん痛みますか? 朝の最初の一歩、長く歩いたあと、階段を上るとき、下りるとき。
- 痛みが始まったころ、体重に変化はありましたか?
この三行を書いてきていただければ、膝の内側の痛みがどのタイプなのかを、ずっと早く見極めることができます。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。
O脚と膝関節症の関係を扱った研究の原文は、O脚の根拠編にまとめてあります。
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