脚がしびれるのは、椎間板ヘルニアですか、脊柱管狭窄症ですか
目次
検索窓に「脚 しびれ 腰」と入れると出てくる2つの名前
30秒でわかるポイント
- 脚がしびれるのは、たいてい腰から脚へ向かう神経が圧迫されているからです。圧迫している側は大きく2つ、椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症です。
- 椎間板ヘルニアは背骨のあいだのクッションが飛び出して圧迫するもので、脊柱管狭窄症は神経が通る通り道が年月をかけて狭くなったものです。
- いちばん役に立つ手がかりはひとつです。座るとつらくなるのか、歩くとつらくなるのか。
- ただし、両方が一緒にあることはよくあり、姿勢に関係なく立ち止まるだけで楽になるなら、脚の血管の問題かもしれません。確認は診察と画像で行います。
- 名前が決まれば、道が分かれます。椎間板ヘルニアは吸収されるまでの時間を乗り切ること、脊柱管狭窄症は歩ける距離を伸ばしていくことが目標です。
よく伺うお悩み
- 「ネットで調べると、椎間板ヘルニアのようでもあり、脊柱管狭窄症のようでもあります。」
- 「お尻からふくらはぎまで、ピリピリと下りていきます。」
- 「病院ごとに言われることが少しずつ違います。」
- 「どちらにしても、治療は似たようなものじゃないんですか?」
お尻から始まって太ももの裏、ふくらはぎを伝って下りていくしびれ。
検索してみると、2つの名前が交互に出てきます。腰椎椎間板ヘルニア、そして脊柱管狭窄症。症状の説明を読むと、どちらも自分のことのように思えて、ますます混乱してしまいます。
どちらなのかが、なぜ大切なのでしょうか。名前が違えば、待ち方も、治療の目標も、気をつけるべき姿勢も違うからです。
神経を圧迫するものは2つです
診察室でいつもしている説明から始めましょう。
脚がしびれるのは、たいてい腰から脚へ下りていく神経が圧迫されているからです。その神経を圧迫しているものは、大きく2つ。椎間板か、狭窄か。
椎間板ヘルニアは、背骨のあいだのクッションの中身が押し出されて神経を圧迫するものです。比較的急に始まることが多いものです。
脊柱管狭窄症は、神経が通る通り道が狭くなったものです。長く腰を使って負担がたまると、骨がとげのように増殖し、靭帯が厚くなります。そうして通り道が少しずつ狭くなり、神経を締めつけます。たいていはゆっくりやってきます。
廊下にたとえてみましょう。椎間板ヘルニアは、廊下に荷物が急に転がり込んできたもので、脊柱管狭窄症は、廊下の壁が年々少しずつ内側に迫ってきたものです。通る人(神経)が不便なのは同じでも、片づけ方が違います。
ご自宅で見当をつけられる手がかり
| 手がかり | 椎間板ヘルニア寄り | 脊柱管狭窄症寄り |
|---|---|---|
| 年齢 | 30〜50代にもよく見られる | 50〜60代以降に多い |
| いつつらくなるか | 長く座っているとき、前かがみになるとき | 長く立っているときや歩くとき |
| 何をすると楽か | 立つか横になると楽 | 座るか前かがみになると楽 |
| 咳・くしゃみ | 脚へピリッと響くこともある | はっきりした変化がないことが多い |
| 片側・両側 | 片脚が多い | 両脚が一緒に重くなることもある |
| 始まり方 | 比較的急に | ゆっくり、歩ける距離がだんだん短くなる |
ひとつだけ選ぶとすれば、これです。座るとつらくなるのか、歩くとつらくなるのか。
座っているときにひどくなり、前かがみになるとさらに響くなら、まず椎間板ヘルニアを考えます。歩いているうちに脚が重くなって立ち止まらなければならず、座ったり前かがみになったりするとすぐに楽になるなら、脊柱管狭窄症寄りです。脊柱管狭窄症の手がかりは、歩くと脚がしびれる方の記事にさらに詳しく書いています。
表が正解というわけではありません
これらの手がかりは推測にすぎず、診断ではありません。
しかも実際には、両方が一緒にあることがよくあります。診察室でよくお伝えする言葉があります。「急に転んで一か所だけ痛めたのではなく、長い年月をかけて腰を使ってきたのなら、傷んでいるのは一か所だけではありません。」 狭窄のある腰に椎間板ヘルニアが重なることもあれば、いくつもの節に少しずつ問題があることもあります。
そのため、確認は診察と、必要であれば画像で行います。
どちらでもない可能性もあります
歩いていると脚が痛くなって立ち止まらなければならないけれど、前かがみでもただ立っていても、姿勢に関係なく立ち止まるだけで楽になりますか? 足が特に冷たかったり、青白かったりしませんか?
そうであれば、脚の血管が狭くなっている問題かもしれません。この場合は、腰より血管の検査が先です。
次のサインは、名前に関係なく待ちません
- 排尿や排便がしにくい、あるいは我慢しにくくなった
- お尻・股・太ももの内側など、自転車のサドルが当たる部分の感覚が鈍くなった
- 足首や足の指の力が抜けるのが、だんだんひどくなっている
椎間板ヘルニアでも脊柱管狭窄症でも、このうちひとつでもあれば、すぐに手術の評価を受けてください。当院にいらしても同じことをお伝えし、すぐにご案内します。
名前が決まれば、道が分かれます
椎間板ヘルニアなら、 飛び出したクッションは、体が時間をかけて自分で片づけることが多いものです。大きく飛び出したもののほうが、かえってよく吸収されるという研究もあります(椎間板の吸収の回)。そのため、目標はその期間を耐えられるものにすることで、長く座る習慣や前かがみの動作を調整することが大切になります。
脊柱管狭窄症なら、 狭くなった通り道が自然に広がるのを待つより、その中でも神経が持ちこたえられるようにし、歩ける距離を伸ばしていくことが目標です。痛いから歩かなくなり、歩かないからさらに歩けなくなる、という悪循環を断つ必要があります。そのため、休みながら歩くコツが治療の大きな部分を占めます(脊柱管狭窄症の根拠の回)。
当院では、まず名前を正確にします
第一に、見分けます。 いつひどくなり、何をすると楽になるのかを詳しくお尋ねします。仰向けで脚を持ち上げる検査と、脚の力・感覚・反射の診察で神経の状態を見ます。必要であれば、同じビル2階の画像診断科と連携し、MRIでどの節に何があるのかを確認します。血管の問題が疑われる場合は、その検査からご案内します。
第二に、名前に合わせて治療します。 鍼・薬鍼(やくしん)で脚の痛みと腰まわりの緊張を和らげ、神経の状態を確認した範囲で、推拿(チュナ)治療によってこわばった動きを整えます。椎間板ヘルニアなら吸収されるまでの期間を乗り切るための生活の調整を、脊柱管狭窄症なら歩ける距離を伸ばすための歩き方の処方を、一緒に決めます。
第三に、記録で確かめます。 脚の痛みのスコア、しびれがどこまで下りてくるか、休まずに何分歩けるかを治療前に書き留めておき、決めた時点ごとに比べます。良くなる方向でなければ同じ治療を繰り返さず、次の道をご案内します。
こう変わります
「椎間板ヘルニアか狭窄症か」と検索を繰り返していた夜の代わりに、自分の脚のしびれの名前と、それに合った計画がわかっている一日。
当院が目指すのは、それです。
回復の速さは、原因や圧迫の程度、痛みの期間によって人それぞれ異なります。
今日のまとめ
脚のしびれは、まず名前を決めることで道が見えてきます。 座るとつらくなるのか、歩くとつらくなるのかが最初の手がかりで、確認は診察と画像で行います。
今日は、4行だけ書き留めてみてください。
- 座っているときと歩いているときの、どちらがつらいか
- 前かがみになると楽になるのか、さらに響くのか
- 咳をしたとき、脚へピリッと響くか
- 片側なのか、両側なのか
このメモを持っていらしていただければ、名前を見つける診療は半分ほど終わったようなものです。
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