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2026年11月8日

「お酒を1杯飲むとよく眠れる」は、夜の前半までしか当てはまりません

キム・ジフン
医療監修 キム・ジフン 代表院長

お酒を1杯飲むとすぐ眠れるのに、明け方3時ごろに目が覚め、朝は眠った気がしないなら

30秒でわかるポイント

  1. 寝る前に飲んだお酒は、夜の前半には早く、深く眠らせてくれます。ここまでは事実です。
  2. 体がアルコールを分解した後半には反動が来ます。何度も目が覚め、眠りが浅くなり、夢が増え、明け方に目が覚めます。健康な人でも同じで、たくさん飲むほどひどくなります。
  3. お酒で眠ろうとする日が3日続くだけで、眠りの構造が変わり、耐性ができ始めます。
  4. 睡眠薬とお酒は一緒に飲んではいけません。いびきがあるなら、お酒は睡眠時無呼吸を悪化させます。
  5. やめる前にまず試せること:最後の1杯は寝る4時間前まで、3日連続は避ける、そして記録で比べる。

よく伺うお悩み

  • 「ビールを1缶飲まないと眠れないんです。」
  • 「すぐ眠れるのに、明け方3時には必ず目が覚めます。」
  • 「朝起きても、眠った気がしません。」
  • 「お酒なしでは、まったく眠れない気がします。」

眠れない夜、冷蔵庫のドアを開けます。

ビール1缶、あるいは焼酎を半分。飲んで横になると、確かにすぐ眠れます。それでいつの間にか習慣になりました。

ところが、おかしなことがあります。たしかに早く眠ったのに、明け方3時ごろに目が覚め、そのあとは浅い眠りと夢の間を行ったり来たりします。朝は眠った気がしません。それでもお酒なしでは眠れない気がして、今夜も冷蔵庫のドアを開けます。

今日はこの習慣をのぞいてみます。先に結論をお伝えすると、「お酒を飲むとよく眠れる」という言葉は夜の前半にしか当てはまらず、後半には正反対になります。

お酒を飲むとよく眠れるのは本当ですか?

夜の前半だけを見れば本当です。だからこそ落とし穴になります。

不眠症治療の専門書は、お酒が眠りに与える影響を二つの段階で説明しています。寝る前に飲んだお酒は、夜の前のほうで寝つくまでの時間を短くし、深い眠りを増やします。

それで眠れない方がお酒に頼り始めます。専門書で紹介されている調査でも、お酒の問題を抱える方のおよそ半数が「お酒は寝つくのに効果があった」と答えています。間違いではありません。ただ、前半だけの話です。

では、なぜ明け方に目が覚めるのですか?

体がお酒を分解しながら、借りを返すからです。

夜が更けて体がアルコールを分解し終えると、一種の離脱状態がやってきます。専門書はこれを反動(リバウンド)と呼んでいます。

  • 何度も目が覚めます。
  • 眠りが浅くなります。
  • 夢が増えます。
  • 明け方に目が覚めます。

アルコールの問題がない健康な人も同じように経験し、飲んだ量が多いほどひどくなります。前半に前借りした深い眠りを、後半に利子までつけて返しているようなものです。明け方3時の目覚めは偶然ではなく、予定されていたことなのです。

睡眠薬のコラムと胃腸薬のコラムで、反動のお話をしました。薬がしていた仕事を、体が返済する現象でしたね。お酒も同じです。早く眠らせてくれた分だけ、あとで起こします。

毎晩1杯ずつなら大丈夫ではありませんか?

専門書が特に強調しているところがあります。お酒が眠りの構造を変え、耐性と離脱をつくるまでにかかる時間は、わずか3日だということです。

3日続けてお酒で眠ろうとすると、眠りの構造が変わり、お酒なしでは寝つきにくい方向へ傾き始めます。耐性ができると、同じ量では最初の眠気が来ないので量が増え、ついにはいくら飲んでも寝つくのに役立たない段階に至ります。このころには、お酒はかえって脳を目覚めさせる方向に働き、不眠はお酒を飲み始める前より深くなっています。

そのため専門書は、不眠とお酒をお互いを大きくし合う関係として描いています。眠れないから飲み、飲むからもっと眠れず、もっと眠れないからもっと飲む。この循環はどこで断ち切ってもかまいませんが、早く断ち切るほど楽です。

必ず知っておいていただきたい二つのこと

第一に、睡眠薬とお酒を一緒に飲んではいけません。どちらも脳を鎮める方向に働くため、一緒に入ると呼吸が抑えられるなど危険なことがあります。睡眠薬を飲む日はお酒を飲まないのが原則です。

第二に、いびきがあるなら、お酒がそれを大きくします。お酒はのどの周りの筋肉をさらにゆるめ、いびきと睡眠時無呼吸をひどくします。専門書も、睡眠時無呼吸のある方には寝る前の飲酒を控えるようすすめています。お酒を飲んだ日はいびきが特にひどいとご家族に言われたなら、その夜の眠りはいつも以上に途切れていたということです。

やめる前に、まず試せること

第一に、最後の1杯の時刻を早めてください。専門書は、寝る少なくとも4時間前までにお酒を終えるようすすめています。体がアルコールを分解する時間を寝る前に終わらせ、反動が眠ったあとに来ないようにするためです。夕食時の晩酌で終わらせ、寝るまで時間をあけるやり方です。

第二に、3日連続は避けてください。毎晩お酒で眠ろうとしているなら、間に休む日を入れて、眠りの構造がお酒に合わせて変わってしまうのを防いでください。

第三に、お酒がしていた仕事の代わりになる道具を用意してください。お酒がしていたのは、緊張を下げ、体を温めることでした。寝る1〜2時間前の温かいシャワー、照明を落とすこと、そしてベッドで目が冴えたら出て、眠くなったら戻るベッドの再学習が、その代わりになります。お酒より時間はかかりますが、反動がありません。

第四に、記録で比べてください。睡眠日誌にその日飲んだ量もあわせて書き、お酒を飲んだ夜と飲まなかった夜の目覚めた回数と翌日の疲れを並べてみてください。頭でわかっていることとは違うものが見えてきます。

こんな場合は、助けが先です

  • お酒なしでは眠れないという感覚が何週間も続き、飲む量が増えている
  • 朝、手が震えたり冷や汗が出たりする
  • お酒を減らそうとすると、強い不安や不眠が来る

この場合は、眠りの問題である前に、お酒の問題かもしれません。アルコールの問題を専門に扱う精神科の診療を先に受けられることをおすすめします。当院にいらしても同じご案内をし、その治療と並行して眠りのケアを担います(眠るためにお酒を飲むようになったとき)。

当院の進め方

第一に、夜とお酒をあわせて診ます。1〜2週間の睡眠日誌に、睡眠とあわせて飲んだお酒の量と時刻を書いてお持ちいただくと、お酒が夜をどう分けているかが見えてきます。血液検査で肝機能を含む体の状態を確認し、腹診・脈診で緊張と覚醒の状態を診ます。

第二に、お酒がしていた仕事を別のものに置き換えます。鍼(はり)・薬鍼(やくしん)で夜まで続く緊張と覚醒を調整し、検査結果に合わせた韓方薬で、眠れる体の条件を整えるお手伝いをします。最後の1杯の時刻、休む日、寝る前の習慣、ベッドの再学習を一緒に組み立て、お酒なしで眠る道をつくります。お酒を減らしている間は、一時的に眠りがかえって途切れることがあることも、前もってお伝えします。その山を知って越えるのと、知らずに越えるのとでは違います。

第三に、日誌で確認します。お酒のない夜に目覚める回数が減り、寝つくまでの時間が短くなるかを一緒に確認します。根拠のない治療はいたしません。

こう変わります

冷蔵庫のドアの代わりに、寝室のドアを開ける夜。明け方3時に目覚めず、朝まで続く眠り。

当院が目指しているのは、そこです。

お酒が眠りに与える影響と回復の速さは、飲む量と期間、体の状態によって人それぞれ異なります。

今日のまとめ

お酒は夜の前半に眠らせ、後半に起こします。最後の1杯は寝る4時間前まで、3日連続は避け、お酒がしていた仕事を別の道具に置き換えていきましょう。

今日やっていただきたいことは一つです。1週間、その日に飲んだ量と夜に目覚めた回数を1行ずつ書いてみてください。お酒を飲んだ夜と飲まなかった夜を並べてみると、前半と後半が見えてきます。その記録をお持ちいただければ、残りは一緒に見ていきましょう。平日は夜8時半まで、土日・祝日も診療しています。

夜中に目が覚めて眠れなくなる不眠の根拠は、院長コラム途中で目が覚めるのも、不眠症ですにまとめてあります。

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キム・ジフン

キム・ジフン 代表院長

検査では異常がないと言われたのに、不調が続いている方を診ています。お腹を押して診る腹診、舌を見る舌診、脈をとる脈診で体の状態を確かめ、確認したことを数字で記録して、次の診療のときに比べます。 痛みについては、痛む場所だけを見ることはしません。足の着地のしかたや顎のバランス、歩き方から原因を探します。治療の方針をご説明するときは、どの学術誌のどの研究なのかもあわせてお伝えします。ご自身で確かめられてこそ根拠だと考えています。

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